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Fix the Bits | あっぷり工房

旅、ギア、サプリ、マインド、トレーニング ── “走る”は創れる

「セット練」とは何か?目的・やり方を解説します!

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こんな方にオススメの記事
  • 長く走ることに慣れる方法とは?

  • 平日あまり走れない

  • 「セット練」って何?


  • 「セット練」とは

    2日連続で強度の高い練習をすること
    を云います。

    2日連続で、って合宿じゃあるまいし。
    キツそう... (;´Д`)ゲロゲロ

    確かにキツいように感じるかもしれません。


    でも、むしろ走り慣れていない方こそ、採り入れてみてほしい練習なのです。

    それこそ「合宿」のように楽しんでみてください!

    本記事ではサブ3.5前後の走力を基準にトレーニング例を挙げています。
    1日目・2日目それぞれの強度はご自身のレベルにあわせて調整してください。


    セット練とは

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    くりかえします。


    セット練習(通称「セット練」)とは

    2日連続で強度の高い練習をすること
    を云います。


    2日で1セット」で、セット練習です。

    広義の「セット練」では負荷の軽い練習と高い練習のセットを含む場合もありますが、本記事では負荷の高い練習のセットを指します

    目的

    2日連続で負荷の高い練習を ──

    なぜ、そんなキツいことをするのか?

    そうですよね、私も最初はそう思っていました。


    しかし、やってみてわかることがあります。

    セット練をする理由。それは

    フルマラソンを疑似体験しておくため
    なのです。


    フルマラソンは一人で42.195kmを走らねばなりません。

    長い時間、長い距離を走っているとだんだんメインの筋肉(お尻やハムストリング、ふくらはぎ)が使い物にならなくなってきます。


    そうなると最後は残されたサブの筋肉で何とか耐えなければならなくなります。

    その「サブの筋肉を総動員して走る練習」をできるのがセット練なのです。

    たとえば

    たとえば、1日目に30kmのEペース走や20kmの峠走で、筋肉痛をこじらせておきます。

    そして、2日目はそのカラダを引きずって15kmのMペース走をするのです。


    キツいです。

    でも、フルマラソンに比べればマシ。


    フルマラソンはそれを連続で走り続けるスポーツです。

    セット練にはいろんな効能がありますが、その「キツさに慣れておく」というのが一番の効能だと思います。

    要するに

    つまり、

    • 1日目にカラダを痛めつけておいて30km地点の状態にしておく
    • そのダメージをあえて2日目に残し、スタミナづくりに活かす

    ということです。

    いわば

    2日間にまたがるフルマラソンの分割走
    ですね。


    セット練を行っておくことで、より実践に近いトレーニングができるのです。

    こんな方にオススメ

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    一見、走り慣れたランナー向けのようなトレーニングですが、あえて慣れていない方にもオススメしたいです。


    なぜなら

    追い込むときと休むときと、しっかりメリハリがつけられるようになるから
    です。


    特に平日あまり走らない(走れない)人にはうってつけだと思います。

    何を隠そう、私がその「平日あまり走らない人」だからです。
    (忙しいわけではなく、たくさん寝たいだけですが (・ω<) テヘペロ.)

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    赤枠がセット練

    平日は短いダッシュやジョグのみだとしても、休日にガッツリ追い込めるのです。

    まさに「合宿」がごとく。

    もちろん走り慣れている方にも効果はありますが、意識してかせずしてか、自然とセット練のような練習をされていることが多いように思います。

    セット練の順序

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    セット練はスピード練習とスタミナ練習の組み合わせで構成されます。

    別の筋肉を使うことで、過剰な負荷を散らす目的もあるからです。


    大事なのは1日目にどちらをやるか、2日目に何を持ってくるか。

    • スピード系→スタミナ系
    • スタミナ系→スピード系


    その順番で少なからず効果も変わってきます。

    スピード系→スタミナ系

    一般的なセット練は

    • 1日目 スピード系
    • 2日目 スタミナ系

    という順序でしょうか。

    私もこの順序で練習することが大半です。


    たとえば

    • インターバル走 → 30km走
    • 5kmタイムトライアル → LSD120分

    等。

    初日はスピード系でを使い切っておき、2日目は脂肪をエネルギーにして長く走る練習をします。

    2日にまたがるガチユル走のイメージですね。


    筋肉痛をほぐしながら走れるので、比較的取り入れやすいセット練です。

    初めてのセット練であれば、断然このパターンをオススメします。

    スタミナ系→スピード系

    逆に

    • 1日目 スタミナ系
    • 2日目 スピード系

    というセット練もあります。

    これは脚づくりに効きます。


    たとえば、

    • 25km走 → 閾値走
    • ビルドアップ走15km → インターバル走

    など。

    はっきり云ってキツイです。


    短い時間とはいえ、全身筋肉痛の状態で素早い動きを繰り出さねばならないので。

    その分、筋持久力はつくようになるでしょう。

    私のセット練

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    手前味噌ではありますが、私が直近で行ったセット練を紹介いたします。

    1日目 クルーズインターバル

    • 目的
      • スピード持久力養成
    • 内容
      • クルーズインターバル 5本
      • 400m 2本


    スピード持久力を鍛えるためのクルーズインターバル

    閾値ペース(Tペース)で12分を5セット。


    セット練初日としてエネルギーを使い切るため、最後にダッシュ2本を入ています。

    が、ちょっとやり過ぎて腹筋とふくらはぎが攣りそうになりました。

    2日目 Eペース走

    • 目的
      • スタミナ(筋持久力)養成
    • 内容
      • Eペース 22km
      • 200m 1本


    2日目は脂肪をエネルギーに2時間走り続ける練習。

    無事

    • Eペースを維持すること
    • 無補給・無給水で走れること
    • ラストにダッシュできる余力があること

    を確認することができました。

    その他

    キツいセット練もトレーニング効果としては高いですが、休日にいつも苦しいトレーニングばかりじゃ辛いですよね。

    そこでオススメなのは、トレーニング以外のテーマで括るセット練です。


    たとえば

    • 城と城を結ぶセット練
    • 花と花を結ぶセット練
    • 境界線を結ぶセット練

    等、2日連続でテーマに共通する場所を訪れるのです。

    ある程度の距離を踏みつつも、イベント感を味わうことができます。


    ▼過去のセット練たち

    よろしければご覧ください。

    先人たちの教え

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    セット練は、先人をして

    • スタミナにフタをする作業
    • スペアタイヤに空気を補充する作業

    とも言わしめることでも有名なトレーニングです。

    スタミナにふたをする

    ランニングコーチ金哲彦氏は著書の『マラソン練習法がわかる本』で名言を残されています。

    「スタミナにふたをする」という感覚。
    よりスピード感覚の強い練習をした翌日に、ゆっくり長く走ることによって、スタミナがなくならないように身体に閉じ込めることができるのだ。

    本書で金氏は「スタミナ補充」という表現を再三使われています。

    「速いペースで走った翌日にゆっくり長く走ることでスタミナが補充できる」とのことです。

    スペアタイヤに空気を補充する

    ウルトラマラソンランナー岩本能史氏もセット練について、面白い比喩をされています。

    セット練とは

    スペアタイヤに空気を補充しておく作業


    どういうことか。

    乗用車にタイヤは何本ついていますか?
    4本?違います。スペアタイヤを含めて通常5本ついています。
    あるとき疲弊した4本のうちの1本がパンクしたとしましょう。トランクに積んであるスペアタイヤにちゃんと空気が入っていますか?
    セット練の目的とは「スペアタイヤに空気を補充しておく作業」なのです。

    私がこんなことをいうのも畏れ多いですが、実に言い得て妙だと感じました。


    ▼引用元はコチラ

    2日連続でできない場合

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    セット練を行うためには「2日連続まとまった時間がとれること」が前提となります。

    われわれ市民ランナーにとっては休日(たとえば土日休み)を使うことが多いでしょう。


    しかし、仕事や天候、行事などの諸事情で2日連続まとめて走れないということもあると思います。

    そんなときは下記の練習も選択肢に入れてみてください。

    二部練

    一日でも午前と午後の二部に分けて練習する「二部練」。


    午前中のダメージが回復する前に、午後追い打ちかけるのです。

    カラダはほぐれているけど、疲れは回復していないという状態なので、セット練とはまた違った負荷が楽しめます。

    ガチユル走

    スピード練習(ガチ)とスタミナ養成(ユル)を組合せた「ガチユル走」。


    これなら一日でフルマラソン後半の粘りを鍛えられます。

    セット練代わりにする場合、ユルもビルドアップやMペース走にするなど、ある程度の負荷をかけて長く走ることをオススメします。

    平日セット練

    平日休みだったり不定休だと2連休がとりづらいですよね。

    しかし、頑張れば平日(出勤日)でも負荷の高い練習はできます。


    頑張れば、ですけどね (^▽^;)

    但し、睡眠時間は削らないこと!(`・ω・´)キリッ

    タイムトライアル

    セット練習のようにスピード系とスタミナ系で分けて練習することを「分習法」といいます。

    一方で、TTやハーフマラソンなど、レースに必要な力を総合的に鍛えることを「全習法」といいます。


    もしたっぷり使える時間が一日しかない場合、10kmのタイムトライアル(TT)をやったり、ひとりでハーフマラソンを走ったりしてみましょう。

    全習法はレースの予行演習にもなりますし、ね。

    注意点

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    セット練に臨むにあたって、注意点を3つほど。

    ケガしないように

    セット練において絶対注意しなければならないのは

    ケガ(故障)しないこと
    です。


    特に2日目の負荷には要注意です。

    設定どおりのペースが守れなくても当たり前だと思わなければなりません。


    1日目にそれだけ追い込んでいるのですから。

    力不足を嘆くのではなく、むしろ追い込めた自分を褒めてあげてください。


    負荷を落としても、そこはフルマラソンの30km地点だと思えば諦めがつくはず。

    逆に設定守れる方がどうかしてます笑

    ケアを怠らないこと

    「ケガをしてはいけない」ということは、同時にケアをしてあげることも意味します。


    私がセット練の後におこなうケアは以下の5つ。

    • 温冷交代浴
    • アイシング
    • ストレッチ
    • マッサージ
    • プロテイン


    効くのか分かりませんが、最近プロテインを変えてみました。

    2日目にムリをしないこと

    1日目のダメージを2日目に活かすのがセット練のコツではありますが、1日目に追い込み過ぎてぜんぜんカラダが動かないのであれば、黄信号です。

    ムリをして体調を崩したりケガをしてしまっては本末転倒です。


    しっかり休みましょう。

    そして1日目に頑張れた自分を褒めてあげると同時に、「次回はもう少し手加減してね」と懇願しておきましょう。

    まとめ

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    本格的にマラソンにのめり込む前までは「セット練」という考え方がありませんでした。

    長く走った翌日は、休むべきでしょ( ̄^ ̄)

    そう勝手に思いこんでいたからです。


    でも、初マラソンで苦い経験をし、そこから考えは代わりました。

    休日、休んでたらもったいない!

    セット練で負荷をかけつつ、有意義な休日を過ごしてみませんか。


    「走る」を創ろう。