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【信頼度UP!】マラソンタイムと体脂肪率の関係(タイム予測ツールも更新!)

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こんな方にオススメの記事
  • マラソンタイムと体脂肪率は関係あるの?

  • 体脂肪率からタイムを試算してみたい!

  • 前回とはまた別の論文をひも解き、マラソンタイムの予測ツールを作成しました。

    同じ実験にもかかわらず、研究者によって違う結論が出ているのが、おもしろいところです。


    論文紹介

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    前回、マラソンタイムと体脂肪率の関係として下記の論文を紹介させていただきました。

    【論文】体脂肪率1%落とすとマラソンタイムは何分速くなるのか?

    今回はもう一つの論文

    男性市民ランナーにおいて体脂肪率とトレーニング指標はマラソンパフォーマンスと関連する
    を紹介します。

    英名"Marathon performance in relation to body fat percentage and training indices in recreational male runners"


    アレ、どっかで訊いたような…?

    コレ、驚いたことに前回の実験と同じ被験者なんですよね Σ(゚Д゚)ナント!!

    同じ実験なのに違う結論

    面白いのは、同じ実験なのに違う結論が出ていることです!

    研究者によって目のつけドコロが違うんですね~


    前回の論文が主要メンバーのBarandun説だとすると、今回のをTanda説とします。

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    Figure 8の図からわかるとおり、Tanda説は改訂を加えることで相関が強くなっているんです。


    Barandun説のメインだった

    • 体脂肪率
    • 練習時の走行ペース

    という要素に、Tanda説は

    • 週間走行距離

    を加えることで、精度を上げることに成功したんですね。

    公式

    ということでTandaらによってはじき出されたマラソン予測タイムの計算式は以下のとおりです。

    • MPT (minutes) = 11.03 + 98.46 exp(-0.0053 K[km/week])+ 0.387 P(sec/km) + 0.1 exp(0.23 BF [%])
      • standard error of estimate = 14.3 minutes, r = 0.81

    直訳すると、こんな感じ↓

    • マラソンタイム(分)=11.03 + 98.46 exp(-0.0053*K) + 0.387*P + 0.1exp(0.23*BF)
      • K = 週間走行距離(km/週), P = 練習ペース(秒/km), BF = 体脂肪率(%)
      • 標準偏差:14.3分、相関係数:0.81

    相関係数が「0.81」なので、Barandun説の「0.75」に比べても信憑性が高くなっています。


    ちなみに式中の「exp」は指数関数でいうところの「eのべき乗」ですね、数学で習ったけど覚えてない… ><

    でも、数学なんて分からなくても使えるのが計算ツールのいいところ。


    Excelなら「EXP関数」、Javascriptなら「Math.exp()」が使えまっせ。

    注:翻訳版の式に誤りがあるので要注意です!
    誤)exp(-0.053*K) → 正)exp(-0.0053*K)

    ツールで計算してみよう


    週間走行距離 km/週

    練習ペース 秒/km

    体脂肪率

    予想タイム:


    ※但し、標準偏差(SEE)が「14.3」、つまり±14.3分の幅があるらしいので、あくまで目安と考えてください ^^

    「練習ペース」とは何か?

    さて、相変わらず謎の「練習ペース」ですが、これが何かと申しますと…

    すみません、Mペース(レースペース)でお願いします f^^;

    は?何いってんの?
    レースペース入れたら、想定内のタイムが出てくるにきまってんじゃん

    そ、そうなんですけどね…(´-ω-)ウムム


    ただ、やってみると分かりますが、単純にレースペースを入れても想定タイムにはなりません

    5'40/kmでサブ4はできても、4'15/kmではサブ3できないのです。


    単純にVDOTのMペースだけじゃダメで、体脂肪率や週間走行距離などによる影響が増してくることで、難易度が指数関数的に上がっていることがわかります。

    「週間走行距離」とは何か?

    この実験は被験者のトレーニング内容を本番3か月間前から記録し、モニターしていたそうです。

    なので、週間走行距離は本番前3ヵ月の週平均走行距離で良いとおもいます。


    カンタンにやるなら

    • 直前3か月間の合計走行距離 ÷ 3 ÷ 4.3

    ですかね。

    私の場合、Garmin Connect調べによると

    • (244.7 km + 303.1 km + 246.0 km) / 3 / 4.3 ≒ 61.5 km/週

    でした。

    自分のタイムで確認

    私の場合、昨年フルマラソンを走ったとき

    • タイム 3時間11分
    • 体脂肪率 16.2%
    • 週間走行距離 61.5km

    でした。

    これを入力してみると ──


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    バッチリ3時間11分


    レースペースを入れたから当たり前とはいえ、体脂肪率も週間走行距離もドンピシャな証拠です。

    体脂肪率と週走行距離はどちらか相関が強いのか?

    今回の方程式は指数関数になっているので、読み解くのが難しいですが、結論からいうとフルマラソンに相関が強いのは「週間走行距離」です。

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    グラフを比べるとこんな感じ(わざわざ作った)↑

    「体脂肪率」とマラソンタイムの関係

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    指数関数なので一概には云えませんが、体脂肪率1%の違いで15秒~1分半の短縮になっています。

    たとえば

    • 19%→18%の時は、1分37秒の短縮

    になるが

    • 11%→10%の時は、15秒の短縮

    にしかならない、という感じです。

    「週間走行距離」とマラソンタイムの関係

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    体脂肪率より影響が大きいのが週間走行距離です。

    こちらも指数関数ではありますが、10kmの違いで3分~4分程度の短縮になっています。

    たとえば

    • 30km→40kmの時は、4分20秒の短縮

    になるが

    • 90km→100kmの時は、3分09秒の短縮

    というように、体脂肪率に比べて伸び幅はかなり広いです。

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    極端だけど、週30kmから100kmまで伸ばすと、これだけタイムが短縮できちゃいます。理論上は。


    質は量から生まれると云うとおり、走るほど走行スピードも上がるし、体脂肪も落ちるので、やはり走るに越したことはありません。

    まさしく「走った距離は裏切らない」というやつですね。

    まとめ

    今回は前回に引き続き、

    • マラソンタイムと体脂肪率に関する論文
    • マラソンタイム試算ツール
    • 体脂肪を減らすより週走行距離を10km増やしたほうが良い
    を紹介させていただきました。

    論文読んでばっかりいないで、走れるようにならなきゃダメですね。


    駆け抜けよう、共に。