こんな方にオススメの記事
インターバル走や閾値走と違って、あまり聞き慣れない「クルーズインターバル」。
実はそのインターバル走と閾値走が融合したトレーニングなのです。
閾値走がニガテな人も得意な人も、ご自身のステップアップのために試してみてください!
クルーズインターバルとは何か
クルーズインターバルとは
通常、閾値走(いきちそう)は20分~30分間走り続けますが、クルーズインターバルは閾値区間を分割して、そのぶん複数セット繰り返して走り切るトレーニングのことを云います。
まさに閾値走とインターバル走の融合といった感じですね。
やり方
やり方はカンタン。
- 疾走区間 Tペース(3~15分)
- 休息区間 ジョグ(疾走時間の1/5)
- インターバル回数
- 初心者 疾走時間が合計20分以上になるように2~4回
- 上級者 疾走区間が合計10km以上になるように5~10回
- 前後に10分または2km程度のアップ・ダウンジョグ
クルーズインターバルはランニングレベルによって、目的とやり方が変わってくるのが特徴です。
閾値ペース(Tペース)とは
閾値ペースをご存知ない方は、このあたりのペースを参考にしてみてください。
- 比較的速いが、20〜30分維持できるペース
- 最大心拍数の約80%程度のペース
- 10km~ハーフマラソンのレースペース
- VDOTでいう「Tペース」
Tペースは、ダニエルズ式でいうと
- サブ4.0は 5'15/km
- サブ3.5は 4'40/km
- サブ3.0は 4'00/km
練習例
初心者は負荷軽減のため、上級者は負荷を+αするために取り入れてみましょう。
閾値走がニガテな場合
- アップジョグ2km
- {5'00/km 5分+ウォーク1分}x 4
- ダウンジョグ2km
初心者は20分を2~4分割にして合計でTペース区間が20分になるように走ります。
閾値強度の負荷を長くかける場合
- アップジョグ2km
- {4'00/km 10分+2分ジョグ}x 5
- ダウンジョグ2km
上級者は、Tペース区間が合計10km以上になるように設定します。
分割する代わりに回数を増やすことで、いつもよりも閾値ペースで刺激する時間を増やすことが目的です。
クルーズインターバルに慣れてきたら、分割回数や休憩時間を減らし、より実践(閾値走やレース)に近い時間をTペースで走り続けるようにしましょう。
期待できる効果
クルーズインターバルに期待できる効果は
- 無酸素性代謝閾値(AT)または乳酸代謝閾値(LT)の底上げ
- すなわちスピード持久力の養成
生理学的な効果は閾値走と同じですね。
閾値走では、以下のようなロジックでスピード持久力を鍛えることができます。
- 有酸素運動から無酸素運動に切り替わる、もしくは乳酸濃度が急激に上昇する境目が「閾値(いきち)」
- 閾値を越えた負荷が身体にかかると苦しくなり、走れなくなる
- しかし閾値を底上げできれば、速いペースでも余裕を持って走れるようになる
- 閾値に負荷を与え続けながら走る練習(閾値走)で、閾値の底上げが可能
詳しくはコチラ▼
しかし、閾値走では実現できないことを、クルーズインターバルはお膳立てしてくれます。
肝心なのは、その目的・用途です。
目的・使いドコロ
効果はスピード持久力の養成ですが、クルーズインターバルを使う目的はもう少し多岐にわたります。
クルーズインターバルは「20分間連続で閾値ペースで走れない方向け」という解説をよく目にします。
しかし、その使いどころはランナーのレベルによって違うと考えています。
初心者
たとえば、以下のランナー。
- Tペースで20分走れない方
- Iペースでのインターバル走未経験の方
閾値走の分割
おさらいになりますが、閾値ペース(Tペース)は「比較的速いが、20〜30分維持できるペース」ペースのことです。
なので、ふつう身の丈にあった閾値ペース(Tペース)で練習すれば、苦しくても走れないということはないはずです。
苦しくて走れないのはTペースを超えてしまっているだけ。
だから最初は分割しても良いですが、それよりも単純にキツすぎるペースを落として長い時間走れることに慣らしていくほうが賢明です。
分割しすぎると中断グセがついてしまうのであまりオススメはしません。
インターバル走の肩慣らし
一方で、あえて分割が推奨されているインターバル走の小手調べにはいいかもしれません。
いきなりIペースで突っ込むのは怖いので、代わりにTペースで様子見してみるというのはアリです。
慣れてきたら、徐々にIペースへ近づけていきましょう。
中級者以上
既に閾値走もインターバル走も経験済みの方は、以下の目的でクルーズインターバルを使ってみてください。
- Tペースを更に長く走るため
- ハーフマラソンに向けた練習(TとIの間を複数セット)
前述のとおり、身の丈に合ったVDOTのTペースで閾値走を走るのが一般的です。
その一方で、少し背伸びをして、目標タイムのTペースを短い距離から体感し、徐々に疾走時間を伸ばしていくという別のアプローチもあります。
特にハーフマラソンの練習の場合、目標ペースとTペースが近い場合が多いので、クルーズインターバルは目標ペースへの導入にうってつけです。
最初は分割するものの、徐々に休息時間や分割回数を減らしていけば、いつの間にかハーフマラソンのスピード持久力が鍛えられていたという状況を創り出すことができます。
やってみた
さて、私の例で恐縮ですが、クルーズインターバルに臨むにあたっての計画、実際にやってみた所感などを綴らせてください。
目的
私がクルーズインターバルに臨んだ目的は以下の3つ。
- ハーフMサブ85のペース確認
- 憧れのサブ3のTペース
- 新技ネタ
今季の目標であるハーフのサブ85は、憧れのサブ3(VDOT=53.5)のTペースと同等です。
※どちらも4'00/kmペース
すこし背伸びをした分、短時間に分けてそのスピードを体に浸透させたいと考えました。
また、新たなトレーニングはブログ記事の格好のネタにもなるのでw ←これ大事
設定
設定は下記のとおり。
内容 | 時間(分) | 距離(km) | ペース |
---|---|---|---|
UP | 10 | 2 | 5'00/km |
急1 | 10 | 2.5 | 4'00/km |
緩1 | 2 | 0.33 | 6'00/km |
急2 | 10 | 2.5 | 4'00/km |
緩2 | 2 | 0.33 | 6'00/km |
急3 | 10 | 2.5 | 4'00/km |
緩3 | 2 | 0.33 | 6'00/km |
急4 | 10 | 2.5 | 4'00/km |
緩4 | 2 | 0.33 | 6'00/km |
急5 | 10 | 2.5 | 4'00/km |
DOWN | 10 | 2 | 5'00/km |
- 合計時間 78分(内、疾走50分)
- 合計距離 17.8km(内、疾走12.5km)
疾走区間の合計が10km以上ということで、インターバル数を4回にするか5回にするか迷いましたが、40分・10kmは負荷が足りないと感じ、5回(50分・12.5km)に設定しました。
ワークアウト設定
GARMINのマイワークアウト設定も忘れてはなりません。
理想は疾走区間を4'00/kmですが、現時点で4'00/kmを維持するのはハードルが高いと感じ、3'55/km~4'05/kmと幅をもたせました。
結果
おはようございます!
— アオヤマユウキ🌵RPG RUNNER (@you_key69) 2020年10月27日
🏃17K #ランニング
{Tペース 10分 + r 2分}x 5セット
キロ4分とお近づきになるためのクルーズインターバル。分割しながらとはいえ、閾値ペースで合計50分・約12kmとかなり苦しめます。
11月の目標は全ラップをキロ4分で収められるようになることです😌
皆さまも良い一日を! pic.twitter.com/Dx4GOJSqNu
2.5kmのアップを入れたものの、低血圧人間にいきなりキロ4攻めはキツい!
本音をいうと、もっとキロ4に肉薄したかったですが、体感とペースが合わず、これが今の実力かな、と。
徐々に疾走時間を伸ばし、サブ85のチカラを養っていきたいです。
注意点
クルーズインターバルの注意点。
それは
前述のとおり、クルーズインターバルは正規の閾値走からハードルを下げる目的で使われます。
レース本番までには徐々にハードルを本来の高さにまで戻していき、最終的には分割なし走れるようになっているべきなのです。
ハーフマラソンはTペースに近いスピードですが、分割グセがついてしまい、休息を入れないと走れない!となっては目も当てられません。
なので、クルーズインターバルばかりに頼って身の丈に合わない練習になっていないか、いちど本番までにふり返るようにしましょう。
まとめ
クルーズインターバルは
- 初心者には負荷の分散を
- 上級者には負荷の追加を
しかし、共通して云えるのは「少しずつ休息時間を減らし、代わりに疾走時間を伸ばしてTペースを長く走れるようにしましょう」ということです。
クルーズインターバルを上手く使って、ステップアップを図っていってください。
武運を祈ります!