こんな方にオススメの記事
ゆっくり長い距離を走るLSD(Long Slow Distance)。
という方もいれば
という方まで様々ではないでしょうか。
好き嫌いというより、そもそもその必要性に賛否がある練習と云えるかもしれません。
LSDからランニングの楽しさに目覚め、一度LSDから距離を置くようになり、LSDの酸いも甘いも経験してきた私が、結論から云うと
- 初心者は積極的に
- 上級者は気分転換に
その根拠を“非”科学的に解説します。
LSDとは
LSD(Long Slow Distance)とは、その名のとおり
英語圏ではいわゆる「ジョギング」をLSDと呼ぶこともあるようです。
では、どのくらいゆっくり、どれくらいの距離を走ればいいのか?
目安はこんな感じ。
- 初心者
- 7'30/km〜9'00/km
- 60〜90分(10km)
- 中級者
- 6'30/km〜7'30/km
- 90〜150分(15〜20km)
- 上級者
- 5'30/km〜6'30/km
- 120〜180分(20〜30km)
長くても「週間走行距離の30%まで」と云われますが、だいたい近しい数字ではないでしょうか。
要は普段よりゆっくり走る代わりに、普段より長い距離を走るということです。
※VDOTでいうところの、Eペースよりも遅い、かなりゆっくりなペースです
効果を実感しづらいLSD
よく、LSDの効果として、紋切り型のように
- 毛細血管が発達するとか
- 心肺機能が向上するとか
云われますが、実際にやってみると
実感がわかないんじゃないでしょうか?
しかし、疑ってもしょうがないです。
科学的なことはよく分かりません。
なので、科学的なことは専門家に任せて、われわれは“非”科学的な側面からLSDに向き合ってみればいいんじゃないかと思います。
で、それが「強さ」につながれば儲けモンですよね (* ^ー゚)b
LSDの“非”科学的な効果・目的
LSDの非科学的な効果とは何か?
そして、その効果を味わうためにどのような目的でLSDを使うべきか?
LSDを走りながら考えてみたので、もしよければ以下を参考にしてみてください。
遠くまで走れる
- 目的:楽しむために
LSDの最大のメリットは
せっかく長く走るのなら、遠足感覚で行きたい所に行きましょう。
普段行かないところへ、散策のつもりで訪れてみると楽しさ倍増です。
平日はなかなか時間がとれないので、LSDをやるならおそらく休日がメインになるでしょう。
一度LSDの魅力を知ると、休日は必ずワクワクして早起きしてしまいます。
特にランニング初心者の方は積極的に取り入れてほしいですね。
休日を楽しめる
- 目的:習慣化するために
休日のLSDが楽しめるようになると、LSDを楽しむために、平日も少しだけ走っておこうという気持ちが芽生えてきます。
休日のLSDだけでは、走力が維持できないからです。
平日も走る習慣をつけておくことで、休日のLSDをもっとラクにもっと遠くまで走れるようになります。
疲れにくい
- 目的:長距離に慣れるために
それなりにスピードを上げて走ると途中でエネルギー切れを起こしたり、筋肉痛になったりして長時間走れません。
しかし、驚くことにLSDならゆっくり走ることによってエネルギーも消費しにくくなり、息も上がらないし、疲労を感じにくいので、思った以上に走れるようになるのです。
たとえ長時間・長距離を走ることがニガテだったとしても、LSDなら走り切れるようになります。
すなわち、長距離を走ることに抵抗がなくなるのです。
風景を楽しみながら走っていたら、気づいていたら遠くまで来ていた──という状況が創り出せると理想的でしょう。
ダメージが少ない
- 目的:ケガを避けるために
もしランニングが辛いという方は(そんな方はここまで読み進めないと思いますが…)、LSDによって
と自己暗示をかけることができます。
スピードを出さないため、関節や筋肉へ負担がかかりにくいです。
ランニングでケガに悩まされがちなランナーも、一旦スピードは置いておいて、まずはゆっくり長く走るところから始めてみてはいかがでしょうか。
いつもと違うペースで走れる
- 目的:気分転換に
走ることに慣れてくると、ゆっくり長く走るつもりでも自然とペースが上がってきてしまいます。
すると、逆に「ゆっくり走ること」は意識しないと守れなくなってきてしまうんです。
なので、あえてゆっくり走ることが気分転換になります。
日頃の鍛錬を労い、たまには景色を楽しんだり、誰かとおしゃべりしたり、食べたり飲んだりしながらリフレッシュしてみるのもいいですね。
ランニングを始めた頃の自分に回帰できるかもしれませんよ。
脂肪を燃焼できる
- 目的:ダイエットに
ふだんEペースで長め(20〜30kmくらい)を走っていて、とつぜんLSDをやってみるとぜんぜんお腹空かなくて驚きます。
理由はきっと、脂肪をエネルギーに走れるからです。
毛細血管が…とかは実感できないけど、脂肪燃焼効率が上がっているのは実感できます。
すなわち、ダイエットにいいでしょうね、これは。
身軽に走れる
- 目的:節約のために
ペース走だ!って2時間以上走るとどこかでエネルギー切れを起こすけど、LSDなら補給食いらず。
これは先ほどの脂肪燃焼に由来していると考えます。
脂肪をエネルギーに変えて走れることで、補給食の代わりを果たしてくれるのです。
身軽に長く走れるのはうれしい。
そして何より家計に優しいのはありがたいことです笑
ランニングのためのランニングコストは馬鹿になりませんからねッ!
自分と向き合える
- 目的:思考の整理に
だんだんランニングと関係なくなってきたな。
いよいよネタが尽きてきたかw
詮索はよしてください笑
長く走っているとランニングが無意識化され、別の思考が襲ってくるタイミングがあります。
ゆっくり走っているので、ピッチを!腕を!股関節を!とかシビアにならないんですよね(できるに越したことはありませんが)。
なので、代わりに色んなアイデアが湧いてきます。
私の場合はだいたい、このブログのことかな…(なんでもっと仕事のこととか考えられないんだろ orz)
しかし哀しいかな、走り終わったらすぐ忘れてしまうので、たくさん思いついたらスマホに音声メモ残すことをもあるくらいです。
── 何の話か逸れてきてしまったので…ひとまずLSDにはそういった自分と向き合うためにも使えるということで、ご理解いただければ。
LSDの弱点
さて、LSDの非科学的な効果、意外とたくさんありましたね。
しかし!
LSDだけ続けていても、フルマラソン完走はできるようになっても、タイムを狙うようになると限界があります。
やはりスピードが物足りないですからね。
それだけではありません。
- 時間効率が悪い
- フォームが崩れる
- 摩擦抵抗が多い
時間効率の悪さ
いちばんの弱点は
ランニングをはじめたばかりの頃はゆっくりでも1時間や2時間走れば、それなりにカラダにこたえました。
しかしある程度、時間や距離に対する免疫がついてくると、1時間やそこらのゆっくりジョグでは刺激が足りなくなってくるんですよね。
極端な話、時間だけが過ぎていく…みたいな。
3時間も4時間も練習にかける時間がとれない。
遠くにいくならペースを上げたほうが時間効率が良いし、効果を求めるにしても少しペースを上げてロング走したり、インターバル走でゼェハァしたほうがいい。
それがまず、LSDから離れたいちばんの理由です。
フォームが崩れる
次にフォームに悪影響があると感じました。
ゆっくり走ることは、すなわち
- ピッチ(歩数)を減らし
- ストライド(歩幅)を短くする
ことを意味します。
その結果、かなり小ぢんまりとしたランニングフォームで長時間走り続けることになります。
そのフォームが体に染みついてしまうとマズいのでは!?という危機を感じました。
摩擦抵抗が多い
もうひとつ。
ランニングエコノミー(RE)とは、少ないエネルギー消費でスピードを出すこと。
クルマでいう燃費のことを云います。
接地時間が短いほど地面との摩擦(抵抗)が少なくなるため、接地時間が短いほうがREが良いとされています。
LSDは接地時間が長くなるのでREが悪化しやすいのではないか──
クルマもノロノロ運転より、高速で走ったほうが燃費が良くなるのとまったく同じです。
これもLSDの弊害と感じた一面です。
ワンランク上のLSDへ
上記のLSDの弱点をまとめると、
- 時間効率の悪さ
- フォームが崩れる
- 摩擦抵抗が多い
しかし、私の主張は一貫して変わりません。
- 初心者は積極的に
- 上級者は気分転換に
これらの弱点を認識しつつも、LSDをとり入れるには、どうすれば良いか。
どうすれば、強くなるためのLSDが走れるのか考えてみました。
フォームは崩さない
となるのが、いちばん危険です。
長時間、変な姿勢で着地や腕振りをしていると疲労が蓄積し、最悪の場合、故障します。
走りたての頃は「ラクに走ること」の意味をはき違えてた。
— アオヤマユウキ🌵RPG RUNNER (@you_key69) 2020年10月2日
腕も脚もチカラを抜いてダラダラ走ればいいのかと…
でも真逆だった💧
ちゃんと腿あげて腕ふったほうが結果的にラクに走れる。なぜなら大きい筋肉に頼って走れるから。
それに気づくのに3年かかった。
脚上げろ!腕を振れ!は真理😌 pic.twitter.com/fwNs8sayNj
※私も初心者の頃はLSDのフォームが原因で肩こりやくるぶしの痛みになやまされました。
ラクだからこそシビアに腕振り、足の運び、目線に集中しましょう。
ピッチも落ちるし、ストライドも保てないと思います。
でも、背筋は伸ばしたまま腰だけは絶対に落とさない死守してください。
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— アオヤマユウキ🌵RPG RUNNER (@you_key69) 2020年10月6日
自分の足音に耳を澄まそう
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「ザッ、ズッ」って音がしたら黄色信号⚠️
足に良くない姿勢で着地してるかも?
長時間走るなら「タッ、トッ」が理想の音です。
それだけで疲れにくくなるし、シューズも痛みにくくなります。
イメージは自転車こぐ時の脚の運び。ちょっと意識してみてください😌 pic.twitter.com/kGYsb6yI4z
あと、シューズを擦らないように脚を上げるのも忘れずに。
よりいっそう長い距離・時間
いくらゆっくり走っていても、2時間くらい経てば、ようやく全身の筋肉に効いてくる感じがしてきます。
速いスピードで腕立て伏せをすると、少ない回数で疲れますが、ゆっくりだとなかなか疲れない。
でも、ゆっくりでも回数を重ねてくと徐々に辛くなってくる。
それと同じようにLSDでも長い時間走り続ければ、同様の効果を感じることができます。
もし、時間に余裕があるなら、エネルギーを効率的に使いながら筋トレ効果を得ることができます。
スピード練習とセットにする
LSDにいくら生理学的な効果があると云っても、スピードを養うのに向いていません。
日本でLSDが広まったのは、もともとランニングコーチの佐々木功氏が坂道ダッシュなどの高強度トレーニングと組み合わせた練習としてLSDを提唱されたことがきっかけだと聞いたことがあります。
そこから、LSDが単独でスピンオフして、ひとつのトレーニングになったと考えます。
なので、その弱点はメリハリでカバーしましょう。
LSD→ダッシュ
LSDで小さくまとまったフォームを解放してあげましょう。
LSDの後、仕上げにWSを入れるなり、短距離ダッシュを入れるのです。
ダイナミックなフォームを呼び覚ましつつ、全身の筋肉に刺激を入れることができます。
スピ練→LSD
順序を逆にしてインターバル系のスピード練習をしてからLSDを走る方法もあります。
これには2つあって、
- 一日で両方こなす「ガチゆる走」
- 土曜日にスピード練習、日曜日にLSDを走る「セット練」
ご自身のスケジュールに合わせて試してみてください。
LSDの練習スケジュール
最後にLSDのスケジュールへの組み込み方。
たとえばインターバル走はいくら走力が上がってもずっとキツいですが、LSDは走力によって印象が変わるもの。
なので、頻度もこれ。
- 初心者は積極的に
- 上級者は気分転換に
初心者向け
初心者といっても幅広いです。
ふだん近所をジョギングしている方は、休日に少し足を伸ばして遠足LSDを。
マラソン完走を目指している方は、距離耐性をつけるためにLSDを。
- 月 ジョグ15分
- 火 ジョグ15分
- 水 ジョグ15分
- 木 ジョグ15分
- 金 ジョグ15分
- 土 LSD 60分~120分
- 日 休
ランニングを楽しんだり、より上を目指すためにLSDを使ってみてください。
中級者以上
前述したようにマラソンのタイム向上を目指すとなるとLSDに頼る回数が減ります。
サブ4なら月に2回。サブ3.5なら月に1回(ぶっちゃけやらなくてもOK)というふうに頻度が減っていくイメージです。
入れるとしたらこんな感じ。
- 月 休
- 火 ジョグ+WS
- 水 閾値走、BU
- 木 SIT
- 金 休
- 土 閾値走、インターバル走
- 日 LSD 120分~150分
ですが、あくまで気分転換やアクティブレスト感覚で使うことをオススメします。
まとめ
冒頭で賛否が分かれると申し上げたのは、ランニングの目的や熟練度によるところがあると思います。
いずれにしても基本的にLSDは楽しくあるべきものです。
まだランニング初心者の方は慣れるためにLSDを、習慣化している方は気分転換にLSDを、うまく使い分けていただくと良いでしょう。
ランニング本来の楽しさを堪能できること、うけあいです。