こんな方にオススメの記事
山道を走る「峠走」なら木陰で涼みながらも、アップダウンで鞭打つことができます。
今回は
- 山道の探し方がわからない
- そんな都合のいい山道なんかない!
というランナーの方にもご提案がありますので、どうぞゆっくりしていってください。
峠走とは何か
峠走とは、説明するまでもないかもしれませんが
「峠(とうげ)」という漢字そのもので、山を上り下りするトレーニングのことです。
目安は獲得標高が、だいたい150m~200mくらいで、そのアップダウンが刺激いれになります。
峠走に期待できる効果
峠走のメリットはいくつかあります。
- 心肺強化
- 筋力強化
- 体幹強化
- 避暑
- 目の保養
上り下りでそれぞれメリットがあるので、それぞれの切り口から簡単に解説します。
上り
心肺強化
上り坂はゆっくりペースでも息が上がります。
よって、平地ほどの負荷を上げなくともゼェハァできて、心肺が鍛えられるのです。
ペースが上げにくい夏トレにうってつけです。
筋力強化
上りはハムストリング(裏腿)・大臀筋(お尻)がバッキバキに鍛えられます。
重力に逆らいながら走ることで、推進力を生む筋肉をフル活用するからです。
坂を上っていると、どうしても脚(腿)を上げないと登りきれないので、マラソン後半に脚が上がらなくなる対策にもなります。
また、脚を上げるために上半身(特に腕)の筋肉も導入して上ろうとするので、意外と肩周りも鍛えられます。
下り
体幹強化
下りは自ずとスピードが出てしまいます。
下りでスピードを上げすぎると、ブレーキが利かなくなるので体のバランスをとりながら走ることになります。
そのときに鍛えられるのが体幹です。
特に起伏の激しい峠は、重心移動の連続なので、立派な体幹トレーニングになります。
着地筋の強化
長いこと下り坂を下りていると、大腿四頭筋(前腿)がパンパンになってきます。
着地衝撃に耐えるために筋肉を使っているからです。
フルマラソン後半の辛さが早い段階で味わえるので効率的といえるでしょう。
フォームの確認
下り坂では軽い出力でふだん出せないスピードが出せます。
重力を借りてるだけなので、スピード練習にはなりませんが、勢いにまかせてカラダを大きく使って、フォームの確認をすることができます。
- 緩めの勾配で
- 見通しの良い場所で
- 短めに行うこと
をオススメします。後述しますが、危険と隣合わせなので。
避暑
これが何よりの夏ランに向けたメリットですが、山道は
- 標高が高く
- 木陰も多く
- 小川で水浴びできる
滝や小川が流れていたりすることもあり、水浴びだけじゃなくマイナスイオンを浴びることもできます。
緑が豊富で目の保養にもなるんです。
トレーニングの観点からは一見重要でなさそうにみえますが、この遠足っぽさはモチベーションを上げるうえでは意外とおろそかにできません。
山道の探し方
近場に山っぽいところがないか、一度おもいを巡らせてみてください。
思い当たるところがあれば、まず突撃してみるのが良いでしょう。
思い当たるところがなければ、いろんなツールに頼ってみるのと良いです。
国土地理院地図
山を探すのにまずうってつけなのが、国土地理院地図の標高図です。
左下の矢印をタップすることで、リアルタイムに標高がわかるようになっています。
そこで150m~200mくらいの地点を探しましょう。
さらに「断面図」機能を使うことで経路全体の標高の変遷まで導きだせます。
メニュー > ツール > 断面図を起動。
コースを点と点でつなぎ、
断面を割り出せます。
Googleストリートビュー
ストリートビューに登録されている道路限定ではありますが、走って上れそうなコースかを確認しておきましょう。
たとえば、
- 道幅はじゅうぶんか
- 舗装はされているか
等。
峠走とはいえ、ハイキングやトレイルをするわけではないので、重たい装備をもっていきません。
ゴツゴツした岩肌があらわになっていたり、草木が生い茂っていたりすると、装備から見直さなければならなくなります。
ふだんのランニングシューズで走れるかがポイントです。
※もちろん専用の装備をお持ちであればトレランに切り替えていただいても構いません (*^ー゚)b
キョリ測
「キョリ測」は目的地までの距離、峠内の距離を測るときに重宝します。
Googleマップなどのナビ系マップは最短距離に近いルート計測には強いのですが、トレーニング目的の迂回ルートの測定には向きません。
キョリ測はタップした地点間の距離をはじき出してくれるので、極端な話、道のないところでも算出可能です。
現地まで行けそうか、起伏のある山道を走るのに現実的な距離かおおざっぱでいいので把握しておきましょう。
山が近くにない場合のオプション
探した結果、峠走ができそうな山道が近辺にないないかもしれません。
でも、もし、少し足をのばしたところに山があるなら、いっそのこと途中までは別の移動手段を使って向かうのもありです。
と思うかもしれません。
しかし、峠走にはそれくらいの価値や魅力がつまっているとおもっています。
自転車で行く
山の麓まで自転車で行ってしまうのはいかがでしょう?
自転車に乗り換えると一気に行動範囲が増えることに驚かされます。当たり前ですが笑
また、自転車なら風を切って走れるので、そのプロセスが涼しいというメリットもあります。
もし、クロスバイクやロードバイクをお持ちであれば、いっそのこと山の中腹までバイクで上ってみてもいいです。
上りは自転車の重量が加算される分、ランニングよりもハムストリングやお尻の鍛練になりますよ。
車で行く
山道の近くまでクルマを走らせ、そこからスタートするというワザもあります。
これのいいところは車にベースキャンプ(拠点)を張れるところです。
拠点ということはつまり、クルマを
- 給水所
- 更衣室
上記は3年前に初めて実践したときの記事ですが、この便利さに興奮する様子が伝わってきますw
山道の近くに駐車場がある場合はぜひ試してみてください。
これをやってみて思うのは「クルマって速い」です笑
電車で行く
峠付近まで電車で向かう、トレイン・ラン。略してトレランです。
これがオススメなのは「自宅から往復するとキツイけど、片道ならなんとか走れそう」という距離の場合です。
たとえば
- 自宅から峠を走って帰ってくると40kmくらいになってしまう
- でも電車を使えば駅出発で20kmくらいで帰ってこれる
- ただし、近くに駅がある場合に限る
という条件に当てはまるランナーなら使えます。
往復で電車を使ってもいいのですが、季節柄、汗まみれになった状態で復路の電車に乗るのははばかられるので、私はやりませんが ^^;
もし着替えやシャワーなどまで済ませられる施設(ランステや温泉)が近くにあるならやりたいですけどね!
どうしても山道がない場合
峠走は山がないことにはできません。
しかし、お住まいの土地が山と無縁ということもあるでしょう。
そんなときは代わりに坂道を探してみてはいかがでしょうか。
山が近くにないイコール坂道も少ない可能性がありますが、たとえば
- 堤防を上る坂
- バイパスや鉄道をまたぐ高架
など、人工的な坂道なら見つけられるかもしれません。
ただし、この場合は山道のように涼しさを求めることができないので、効率的に刺激をいれられる
- 坂道ダッシュ
- 坂SIT
などで短時間でこなすことをオススメします。
西濃の峠走スポット
そんなプロセスを経て、私が今までチャレンジしたことのある峠をすこしばかりご紹介いたします。
※どれも岐阜県西部(西濃)の峠ですので、参考程度にご覧ください
養老山
- 所在地 養老郡養老町
- 獲得標高 173m
- 山道距離 約3km
昨日、訪れた養老の山です。
昨年は暑さを理由に自転車で訪れたスポットですが、今夏は成長した自分を確認するために全行程をランで訪れました。
上り下りも長くはなく、遊歩道を走れるのでビギナー向きです。
但し、日中は観光客が多いので、早朝に訪れるのがベスト。
1回のアップダウンでは物足りなかったので、3周上り下りして帰ってきました。
多良峡
- 所在地 大垣市上石津町
- 獲得標高 151m
- 山道距離 約13km(往復)
紅葉の名所でもあり、大垣市の景観遺産にも指定されている多良峡です。
夏ランでもかまいませんが、峡谷内は紅葉づくしなので秋に行くのもオススメです。
池田山~揖斐峡
- 所在地 揖斐郡池田町~揖斐川町
- 獲得標高 157m
- 山道距離 約28km(往復)
景色もアップダウンも最高峰の峠コース。
一部は知る人ぞ知る、難関「いびがわマラソン」のコースとなっています。
池田山では茶畑からは濃尾平野を望むことができますし、揖斐峡では揖斐川の清流を眺めながら涼しく走れます。
ポイントポイントに公衆トイレもあるのがありがたいです。
中腹の揖斐峡大橋まででこの標高。さらに上れば200m以上の標高が獲得できます。
涼しくも苦しい峠走を終えたラストは池田温泉で締められるという最高のコースなんですが…今年は自粛ですね (ノд・。)
下りの走り方に注意
峠走に臨むにあたって注意していただきたいのが、下り坂の走り方です。
下りはスピードが出て気持ちがいいのですが、危険と背中あわせであることを知っておいていただきたいため、注意喚起させてください。
苔に注意
山道は涼しい反面、日当たりが悪く苔がむしていることがあります。
調子にのってスピードを出していると、思わぬところで足をとられる危険が潜んでいます。
後述する「小股で走る」を念頭におきながら、滑らないように注意してください。
車やバイクに注意
山道は勾配をおさえるために、カーブが多く、見通しが悪い場所があります。
峠はランニングだけでなく、ドライブでもツーリングでも気持ちいいものです。
急カーブでランナーが突っ込んできたら、車も避けきれないでしょう。
できれば歩道が整備された道を走るか、交通量が少ない道を走る。
夜間見通しが悪いと危険なので、人出の少ない早朝をオススメします。
着地衝撃に注意
下りの着地衝撃はキツイです。
よく「着地時は体重の3倍の衝撃がかかる」と云われますが、坂道の下りでは「体重の5倍以上の衝撃がかかる」そうです。
特にサブ4を目指されているランナーは下りの走り方を習得しておかないと、着地衝撃で筋肉を爆破されてしまいます。
- ストライドを狭めて、ピッチを増やす
- 腕振りを小刻みに
- 前傾は保つ
最初は緩やかなアップダウンをゆっくり走るところから始めてみるのもいいでしょう。
お恥ずかしい話、私は昨年、峠走にハマり調子にのって走り続けていた結果、ふくらはぎの肉離れを発症してしまいました。
復帰後、上記の走り方を意識することで、何とか難関のいびがわマラソンでサブ4を達成できましたが、ナメてはいけません>
まとめ
峠走は上り下りで使う筋肉がまったく変わるので、全身が使えて本当に効くトレーニングです。
レジャー感覚で楽しめて、夏休みっぽさも満喫できます。
最後に掲げた注意点をよく守り、快適な峠走を楽しんでください。
特にこれから台風が増える季節に入るので気象情報を細かくチェックしながら計画を立てるようにしましょう。