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夏ランは「ヒート・トレーニング」だと思え!

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こんな方にオススメの記事
  • いよいよ夏本番!

  • 秋の自己ベスト目指して、強くなるぞ!

  • しかし、暑くてペースが上げられない

  • ホントに強くなれてるんだろうか…


  • 夏ですねえ。

    暑いからこそ、山登って鍾乳洞で涼んで流しそうめんで締める!なーんてレジャーが楽しめました。


    かつては。

    で・す・が!今年は自粛ッ!!


    そうなってくると、この暑さはトレーニングに利用するしかありません。


    暑さを味方につける「ヒート・トレーニング」のご紹介です。

    屋外でコンスタントに走っているランナー向けです。
    運動習慣のない子は絶対にマネしないでね!


    ヒート・トレーニングとは

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    ヒート・トレーニング(heat training)とは

    あえて暑さの中を走り、ランニングに必要な血液のはたらきを向上させるトレーニング
    のことをいいます。


    暑さの中でトレーニングすることにより、身体を冷やしたり筋肉にエネルギーを運ぶために血流量が増えるからです。


    ただし、単発的なトレーニングのことを云うのではありません。

    長期的に暑さの中をランニングすることによって、ジワジワと血流量が増えていく──そんなイメージです。

    ヒート・トレーニングのやり方

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    本来のヒート・トレーニング

    あえて血流量を増やすために、

    • 長そで・ロングタイツを着用して走る
    • トレーニングジムの室温・湿度を上げて走る

    ような練習をヒート・トレーニングといいます。

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    ドラゴンボールでいうところの「ピッコロのマント」ですね。


    実際にアメリカのカラ・ガウチャ(Kara Goucher)選手は、2007年世界陸上競技選手権大会に備えて、長袖・ロングタイツを着用し練習していたそうです。


    開催地である大阪が酷暑になることを想定してヒート・トレーニングを行い、見事10,000mでアメリカ人初の銅メダルを獲得しました。

    天然のヒート・トレーニング

    今回推したいのはこちらのほう、天然のヒート・トレーニングです。


    やり方はカンタン。

    暑さに耐えて、いつもどおり走りつづけるのです。

    何も難しいトレーニングでもなければ、真新しいトレーニングでもありません。ただ、ツライだけで^^;


    ただ、ポイントがあります。

    われわれは重力室のように自由に暑さをコントロールはできないので、気のコントロールで乗り切るのです。

    酷暑の中、ペースが上がらなくても

    ぜんぜん走れない <("0")>

    と焦るのではなく

    今はヒート・トレーニングをしてるんだ!

    と気持ちを切り替えましょう。


    そうすることで、この逆境も

    • 今は根を張る時期なんだ
    • 置かれた場所で咲くんだ
    • 走ってるだけで勝ち組だ

    と前向きにとらえられるようになります。


    理想は「夏がんばってたら、自然と秋に速く走れるようになっていた」というストーリーです。

    ヒート・トレーニングに期待できる効果

    さて、耐えたら強くなるのは感覚的にはわかります。

    では、ヒート・トレーニングに期待できる具体的な効果は何なのでしょうか。


    ひとことでいうと

    血液にたくさん働いてもらえるようになること
    です。


    血流量が増えることによって、

    • 熱をためこまずに放散できる
    • 筋肉に十分な酸素をおくりこめる
    • 気温に左右されず、体温は上昇しにくくなる
    • 比較的低い体温でも発汗し、冷却システムが作動しやすくなる
    • 発汗する汗の塩分が少なくなり、電解質バランスを失いにくくなる

    というようなメリットが期待できるのです。


    血液は偉大です。

    米lifehackerではその効果を「合法的な血液ドーピング」とまで喩えていたのは印象的でした。

    仕組みは「高地トレーニング」と同じ

    ヒート・トレーニングの考え方は、よく知られた「高地(低酸素)トレーニング」と同じです。

    • 酸素が少ない高地でトレーニングを行うことで、血中の酸素濃度が低下する
    • 環境に適応するため、カラダが血中の酸素濃度を増加させる

    そういった、ヒトの適応能力を利用したトレーニングです。

    逆にいうと、適応できないほどの過酷な環境でのトレーニングは推奨されません

    エリートでも暑さの影響を受ける

    暑さがどれだけ堪えるかは、実際のレース結果でもわかります。

    これは一例ですが、気温が20℃(69°F)を超えるとタイムが落ちることが報告されています。

    華氏(°F) 摂氏(℃) 2時間10分 2時間半 3時間 4時間
    70 21 +2分 +2.5分 +3分 +4分
    81 27 +4分 +4.5分 +5.5分 +7.5分
    90 32 +6分 +7分 +8.5分 +11.5分
    100 37 +8分 +10分 +12.5分 +17.5分

    ▲暑さとタイムの関係(引用元:米Active


    エリートランナーでもペースが落ちるんです。

    ここは上を目指すのではなく、耐えましょう。

    自分はどれだけ暑さの影響を受けるか?

    では、自分はどれだけ気温に影響を受けるのか、気になるとおもいます。

    ジャック・ダニエルズ博士の「VDOT計算機」で試算できるので、ためしに計算してみましょう。

    1.PBの距離・タイムを入力する
    2.Advanced Features(拡張機能)をタップ
    3.Anticipated effect(予想効果)をタップ
    4.気温(℃)を入力
    5.Calculateをタップ


    ダニエルズのランニングフォーミュラに基づき、暑熱下での予想タイムや練習強度が算出されます。


    たとえば、

    • ハーフマラソンのサブ90も、気温30℃だと1時間33分程度に落ち込む
    • 10kmの40分切りは、気温30℃下では41'39"と同等
    • 気温30℃下でフルマラソンをサブ4できれば、3時間50分切り相当

    というようなことがわかります。


    このVDOT計算機のすごいところは、Altitude(高度)もパラメータとして入力できることですね。

    ダニエルズ先生の守備範囲の広さには驚かされます。

    高度と気温が同列で入力できることから、ダニエルズ先生も高地トレーニングと同じくらいヒート・トレーニングを重要視していたことが推測できますね。

    私のヒート・トレーニング例

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    私は昨年(2019年夏、当時のフルPBは4時間27分)、11月に控えた「いびがわマラソン」でのサブ4を目指してヒート・トレーニングに勤しんでいました。

    そして愚直に走り続けた結果、しっかりサブ4を達成することができたのです。


    これはひとえに夏から走り込んできた成果だと自負しております。

    ヒート・トレーニングとして主に取り組んできたのは

    • SIT
    • 閾値走
    • ミドル走
    この3つでした。

    SIT

    {全力疾走 30秒 + 休息 90~180秒}× 6セット

    SIT(Sprint Interval Training)のいいところは、オールシーズン使えることです。

    暑かろうが、寒かろうが、その時に出せる全力で走ればいいからです。

    設定タイムなんてありません。


    暑ければ暑いなりに30秒ダッシュするのみ。

    ヒート・トレーニングにうってつけだとおもいます。

    閾値走

    VDOTのTペースで20分

    わりと短めの時間でそれなりに追い込めるのが閾値走の良いところ。


    暑い季節でもサクッと終わらせられます。

    ミドル走

    15~20km、もしくは90分前後


    スタミナ養成のために、週末は15~20km、90分前後を走っていました。

    ペットボトルを担いで。


    間に休憩を入れて給水をしながら走りますが、負荷(ペース)はできるだけ落とさずに走りました。

    注意点

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    当たり前ですが、気温との戦いなので、命を守りながらトレーニングしましょう。

    とにかく水分補給を

    なぜ暑いといつものペースで走れなくなるのか、原点をたどると

    • 高気温による体温の上昇
    • 発汗による脱水

    なんですよね。


    完全とは云えませんが、この2つを抑えられるのが「水分補給」です。

    追いこむのは結構ですが、水分補給は欠かさないようにしてください。


    強い負荷を与えつつも、補給して復活し、トレーニングを継続する。


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    いわば、重力室で仙豆を食べながら修行する悟空のようなものですね。

    トライアルはしない

    ヒート・トレーニングは追いこむ練習であって、本番ではありません。


    下手にトライアルなんかに挑むと自信を喪失する可能性もあります。

    • 夏は伸びないことを理解する
    • 秋になったら効果が現れることを信じる
    • その覚悟の上で、愚直に走り続ける
    この3つの指針を大切にしてください。


    いやぁ、しかし例年8月末に開催されていた北海道マラソンのために、この時期に鍛練していた方々のことをおもうと頭が上がりません…

    暑さ指数(WBGT)も参考に

    最近よく「暑さ指数(WBGT)」というのをよく耳にするとおもいます。

    これは気温にかぎらず、熱中症の要因となる湿度や日射も加味された指数です。


    この指数が何を云わんとしているかは、日本スポーツ協会の早見表が参考になるので転載させていただきます。

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    引用元:環境省 熱中症予防情報サイト

    WBGT 気温(参考) 指針
    31以上 35℃以上 運動中止
    28~30 31~35℃ 激しい運動や持久走などは中止
    25~28 38~31℃ 30分おきに水分・塩分を補給


    気温が35℃以上になったら止める勇気も大事です。

    まとめ

    いちばん大切なのは、シンプルに「普段から走っておくこと」です。


    少し前に「暑熱順化(しょねつじゅんか)」という言葉をよく見かけましたが、暑さに順応しつつ、走りつづけることがヒート・トレーニングにつながります。

    • トレーニングの強度としては上を目指さない(現状維持を目安とする)
    • 代わりに「暑さ」という負荷をかける
    • 夏が明けて気温が下がったときに、相対的にタイムが伸びている

    こう信じて、最終的に暑さをも味方につけたいですね。