こんな方にオススメの記事
先人は云いました。
と。
ウェーブ走とは
ウェーブ走とは
次の区間は速く、そのまた次の区間はゆっくり…とペースが変化するので「変化走」とも呼ばれます。
あえてペースを揺さぶることで心肺や脚に負荷をかけることを目的とします。
やり方
ウェーブ走のやり方は至極カンタンです。
- アップ
- 1km 速く走る
- 1km ゆっくり走る
- 2.~3. を3〜5セット繰り返す
- ダウン
※緩急の幅はキロ当たり20秒~1分程度
GPSウォッチを使っているなら1キロ毎でもいいですし、なければ5分毎など時間で切り替えても良いです。
また、陸上トラックや公園の周回コースであれば、1周ごとに切り替えても良いですね。
1ラップ毎に緩急をつければ良いので、小難しい計算も不要です。
ウェーブ走の使いドコロ
やり方はカンタンなので、大事なのはむしろ使い方です。
個人的には2種類の使いドコロがあるとおもっています。
- 攻めるウェーブ
- 守るウェーブ
解説します。
攻めるウェーブ
一般的には、前述したとおり、心肺や脚力を鍛える効用があるといわれています。
が、個人的には
ウェーブ走には
- 閾値走より疾走区間が短い
- インターバル走より休息区間が長い
この特徴をうまく利用して、攻めてみましょう。
インターバル走の例
たとえばインターバル走が苦手だけど、チャレンジしてみたいとき、腕試しにインターバルペースまで上げてみるのです。
と体感できたら、また下げる。
これを何度かくり返す。
これも立派なウェーブ走。
閾値走の例
閾値走でも同じです。
20分間も連続で疾走できなければ、どこまで続けられるか小手調べをしてみましょう。
様子見してキツければすぐに落とせばOK。
息が整ったら再チャレンジ。
これを繰り返せば、これまたウェーブ走の完成です。
そうやって速いペースに慣れていけるように、すこしずつウェーブ走で攻めてみるという使い方があります。
守るウェーブ
逆にレスト区間をうまく活かすテクニックもあります。
たとえば、ビルドアップをしようとして思った以上にペースが上がってしまったとき。
そんなときは、自信をもって「ウェーブ走なので」とペースを落としてしまいましょう。
ペース走のつもりが設定ペースで続行するのが辛くなったときも同じ。
一旦ペースを落として、ウェーブ走に切り替えてしまうのです。
これは失速したのではなく、あえて落としたのだと。
落ち着いたら、もう一回くらい上げてみて「ウェーブ走だ」と言いはれば勝ちです。
これぞ自己の尊厳を守るウェーブ走です。
3つのパターン+α
一定間隔でペースを上げ下げして、ペースグラフが波打てば、それはもうウェーブ走のと呼んで差し支えありません。
しかし、どれくらいの振れ幅で緩急をつければいいかわからない、目安があったほうが走りやすいという方もいらっしゃるでしょう。
なので、ここに3つのパターン+αを紹介させていただきます。
- E Easyペース
- M マラソンペース
- T 閾値ペース
- I インターバルペース
E ⇔ M
- 初心者向け
- ウェーブ走に親しむ
これはゆっくりジョグから心地よいスピードくらいまで上げるウェーブ走です。
設定ペースの目安は以下のとおり。
目標タイム | 緩 | 急 |
---|---|---|
sub4.5 | 7'20 | 6'21 |
sub4.0 | 6'35 | 5'41 |
sub3.5 | 5'46 | 4'56 |
sub3.0 | 4'59 | 4'14 |
おそらく余裕をもってこなすことができるのじゃないでしょうか。
余裕があれば疾走時間を長めにしても良いですし、そのまま更に上げてBU走に持っていってもOKです。
次に紹介するM⇔Tパターンでもいいですね。
M ⇔ T
- 中級者向け
- 閾値走が苦しいときに
- 無酸素性代謝閾値の底上げ
閾値走に慣れてない方は、Tペースに慣れ親しむ意味でこのパターンを試してみましょう。
目安は下記のとおり。
目標タイム | 緩 | 急 |
---|---|---|
sub4.5 | 6'21 | 5'56 |
sub4.0 | 5'41 | 5'19 |
sub3.5 | 4'56 | 4'38 |
sub3.0 | 4'14 | 4'00 |
連続疾走時間が短い分、セット数を多めにして閾値を刺激する頻度を増やしましょう。
じつは、ここには裏目的もあります。
キツいTペースに果敢に挑めば挑むほど、Mペースをラクに感じられるようになるのです。
つまり、ウェーブを走ることで「マラソンペースは楽なのだ」と、自己暗示をかけることができるのです。
M ⇔ I
- 上級者向け
- インターバル走が苦しいときに
- 酸素最大摂取量(VO2Max)の底上げ
わりと速いペースからさらにキロ当たり30秒上げていくかなり苦しいウェーブ走です。
目安は下記。
目標タイム | 緩 | 急 |
---|---|---|
sub4.5 | 6'21 | 5'37 |
sub4.0 | 5'41 | 4'54 |
sub3.5 | 4'56 | 4'16 |
sub3.0 | 4'14 | 3'41 |
さすがにIペースまで上げると苦しいので、レスト区間はMペースで休むことができません。
なので、実際は一気にペースをジョグまで落として、次の疾走区間まで徐々に戻しながら、ラップ平均でMペースにするイメージになるとおもいます。
合わせ技 M ⇔ I → T
- 上級者向け
- 無酸素性代謝閾値の底上げ
- 酸素最大摂取量(VO2Max)の底上げ
M⇔Iを極めたら、M⇔Iのウェーブ走のあとにTペース(閾値走)で締める合わせ技にチャレンジしてみましょう。
- {Mペース 1km ⇔ Iペース 1km}x 3セット
- Tペース 20分
各走力ごとの目安は以下のとおりです。
目標タイム | {M ⇔ I}→ T |
---|---|
sub4.5 | {6'21 ⇔ 5'37}→ 5'56 |
sub4.0 | {5'41 ⇔ 4'54}→ 5'19 |
sub3.5 | {4'56 ⇔ 4'16}→ 4'38 |
sub3.0 | {4'14 ⇔ 3'41}→ 4'00 |
ポイントは、M→Iをウィンドスプリント感覚のウォーミングアップと捉えること。
ここで速いペースをカラダに植えつけ、カラダをほぐします。
いちばん大事なのはTペースを楽に感じさせるように頭にすり込むことです。
注意点
ウェーブ走はシンプルな反面、注意点もいくつかあります。
集中力を欠かさないように
5セットくらいやってるうちに今、疾走区間なのかレスト区間なのかわからなくなることがあります。
ウソみたいですが、本当にあるんです。
せめて偶数ラップか奇数ラップのどっちが疾走区間かは把握しておきましょう。
苦しいときは
ウェーブ走がどんなものか分からないとき。もしくは新しい設定ペースで挑戦するとき。
まずは2セットくらいから始めてもOKでしょう。
疾走区間を500mスパンにしてもいいですし、レスト区間のペースをもっと落としてもいいです。
ウェーブ走はカラダと相談しながらセット数や区間を調整することができます。
緩急の差が曖昧になってきたら
何セットか続けてるうちに疾走区間とレスト区間のペースがだんだん曖昧になってきてしまうことがあります。
原因は
- 速いペースまで上げられなくなる
- 遅いペースまで落とせなくなる
のどちらかです。
なので、波打てなくなったら一度断ち切って、ジョグやペース走に切り換えたり、下げられないならむしろビルドアップして上げてみましょう。
ウェーブ走を起点に、他のトレーニングに派生させることはじゅうぶんに可能なのです。
ジョグの区間ほど大切に
設定どおりに走れるようになってきたら、レストの区間こそしっかり走ることを意識してみてください。
疾走区間でスピードを養い、レスト区間ではスタミナを養うことができます。
息を整えつつ、フォームを維持することに全神経を集中させましょう。
ここで堪えれることができれば、マラソン後半も粘れるようになります。
慣れてきたら
いちばんの注意点は、ウェーブ走で決して満足してはならないという点です。
ウェーブをよりさらに上げていくビルドアップ走という練習もあります。
レストがもっと短いインターバル走もあります。
疾走時間がもっと長い閾値走だってあります。
つまり、ウェーブ走はあくまでプロセスにすぎないのです。
慣れたら疾走距離を延ばしてみたり、スピードを上げてみたり、セット数を増やしてみたり、色んな練習に発展させていきましょう。
まとめ
ウェーブ走は
- 1km 速く走る
- 1km ゆっくり走る
- 2.~3. を3〜5セット繰り返す
揺さぶって負荷をかけながら、それなりに距離を踏むことができ、スタミナ養成や脚づくりに貢献してくれるでしょう。
どうか、波を飲まれることなく、うまく波を乗りこなしください。
そして、むしろ波を創り出せる境地をめざしていただきたいと思います。
ともに波乱を乗り越えよう!