こんな方にオススメの記事
サブ3を志すランナーにとっての通過点となる、10km走の40分切り。
やりましたァァァ!
— アオヤマユウキ🌵MADANAO-RUNNER (@you_key69) 2020年9月13日
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🏃10kmTT(3'58/km)
⏱️39'43
🏅祝・新記録達成!
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念願の10km40分切り達成しました!
疲労も抜けたし涼しくなってきたし、何より皆さんのレース報告に勇気をもらい、挑戦できました。ありがとうございます!
ラスト上げられたのが良かった。無事、夏の頑張りが結実しました😌 pic.twitter.com/tLusNbq9df
3ヶ月かけてようやく達成できたので、その攻略方法を大公開します。
- 【結論】10km・40分切りトレーニング
- 10km・40分切りの難易度
- VDOTに見るトレーニング理論
- 己を知るべし
- トレーニング概要
- 【必勝法】何度もタイムトライアルで失敗しておく
- 3ヶ月間のトレーニング内容
- レース当日の走り方
- 【実録】私の10kmタイムトライアル
- 注意点
- まとめ
【結論】10km・40分切りトレーニング
という方にはいきなり結論!
ひとまず、下記のトレーニングをやってみてください。
- ミドル走(15〜20km)週2回以上
- 距離耐性をつけるため
- 閾値走(4'07/km)40分
- 持久力養成のため
- ヤッソ800(サブ3設定 )
- スピード養成のため
これらがひと通りこなせるようになれば、10km・40分切りできる確率はかなり上がります。
設定に届かない場合は、ひたすら数をこなし近づけて行きましょう!
10km・40分切りの難易度
10km・40分切りは
その時点で難易度が髙そうなことは容易に想像がつきます。
走力レベル(VDOT≒52)からすると、以下のような走力を持つランナーに該当します。
距離 | タイム | ペース |
---|---|---|
1500m | 5'13 | 3'29/km |
5km | 19'17 | 3'51/km |
10km | 39'59 | 4'00/km |
Half | 1:28'31 | 4'12/km |
Full | 3:04'36 | 4'22/km |
上記のとおり、フルマラソンの予想タイムが3時間5分前後であることから「サブ3への登竜門的な目標タイム」と云えます。
10km・40分切りは全体の2%~3%とも云われ、大会の規模によっては表彰台も狙えるタイムです。
チャレンジするレベルとしては
- 5km 20分切り
- ハーフ 90分切り
を達成したランナーが次に据える目標としてふさわしいでしょう。
感想
これは10km・40分切りを達成した直後の私の率直な感想です。
3ヶ月の悲願。
達成するまでかなり手こずりました。
達成と同時に、一気に上級者向けのステージに突入した印象です。
今ふり返ってみても、自分で「よく走れたな…」と感心してしまうような苦しさでした ^^;
その分、達成したときの悦びはひとしおですが。
天然でさくっとクリアしちゃう方もみえますが、これくらいの難関だというのが一般的な陸上未経験者の感想だとおもいます。
VDOTに見るトレーニング理論
前述のとおり10km・40分切りのVDOT(走力レベル)は約52です。
理論上は以下のペースでトレーニングできることが推奨されます。
種類 | 説明 | ペース |
---|---|---|
E | 長時間ラクに走れる | 5'08 |
M | マラソン完走ペース | 4'22 |
T | キツいが、30分耐えられる | 4'07 |
I | 短時間しか持たないほどキツい | 3'48 |
R | 400mダッシュ | 1'25 |
そのため、トライアルの前に上記設定で走れるかどうかが目安となります。
たとえば
- 5'08/kmで90分以上走れるか
- 1kmのインターバル走を3'48/kmペースで5本こなせるか
- 4'08/kmで20分~30分走り続けられるか
走れない場合は、まずその設定に近づけていくためのトレーニングが必要です。
これらはあくまで理論上ではありますが、10km・40分切りの4'00/kmは「Tペース=キツいが、30分耐えられる」と「Iペース=短時間しか持たないほどキツい」の間です。
なので、結局はキツいペースで40分間耐えるスピードとスタミナを身につけておかねばなりません。
己を知るべし
さて、今までは理論上の話でした。が、じゃあ自分は実際どうなのか。
スピード練習が得意、ゆっくり長く走るのは苦手など、得手不得手があるはずです。
そのため、ニガテを克服するための練習も十人十色のはずです。
なので、まずは己を知り、何を鍛えるべきなのか自己分析しましょう。
孫子は
彼(10kmの難易度)は分かりました。じゃあ己(自分の得手不得手)は何なのか。
この3つの視点で分析してみるのです。
- 直近のPBはどうだったか
- 現時点ではどうか
- IとTではどうか
直近のPBはどうだったか
直近で10kmのPB(自己ベスト)を更新したときのことを覚えてるでしょうか?
その時の課題は何だったでしょうか?
それよりも速いタイムを目指す以上、そこは克服しておかなければなりません。
- どんなペース戦略で臨んだか?
- 肺が苦しかったか?
- 脚が動かなくなったか?
記憶は鮮明であればあるほど良いです。
私の場合、10km41分切り(40'58)を達成したのが、4月4日でした。
前半温存してポジティブスプリットで臨みましたが、終盤に上げるつもりがキロ4分を切った瞬間に心肺がやられ、上げきれずギリギリ40分台という感じだったのです。
その反省から学び、10kmTTは変なことを考えず、イーブンペースでいくのが妥当であると学びました。
現時点ではどうか
最近10kmTTを走ったばかりなら、ここは省いても構いません。
現時点で
- 4'00/kmでどこまで堪えられるか
- 40分でどれだけ走れるか
- 10kmのタイムはどうか
私の場合は、4'00/kmペースが維持できるのは5km20分が限界だったので、さらに長い時間堪えられるスタミナが足りないと認識していました。
IとTではどうか
VDOTの項でもお話したとおり、10km・40分切りのペース(4'00/km)は
- Iペース 3'48/km
- Tペース 4'07/km
のほぼ真ん中です。
このうち、余裕をもってできるのはどちらのトレーニングか、どちらが辛いかも判断基準になります。
- 3'48/kmでインターバルを5本走れる
- 4'07/kmで20分走り続けられる
私の場合は、自他共に認めるスピードタイプなので、レペやインターバルは設定どおり走れます。
しかし、閾値走(Tペース)となると一転、タイムトライアルのようになってしまい、明らかに閾値を超えた息の上がり方をしていました。
これよりキロ10秒速いペースを、さらに2倍も長い時間維持するのは厳しい状況だったので、閾値を上げることが課題でした。
逆に、スピードが苦手な方は普段から短い距離に分割しながらでもいいので、少しずつキロ3分台で走る練習が必要と考えます。
トレーニング概要
私の例で恐縮ですが、前項の弱点を整理すると、課題は
- イーブンペースの維持
- スピード持久力の養成
- 閾値の底上げ
集中力の維持
体感ペースを維持できるように、集中力を保つ練習をしました。
この3つが特に効果的だったように思います。
- フォームを意識する
- 水分を補給する
- 分割する
中でも「姿勢の維持」は集中力がアップすることをDaiGo氏の著書で学び、ランニングにも相乗効果があったと自負しています。
閾値走のバリエーション
愚直に20分間Tペースで走り続ける閾値走も悪くはありませんが、個人的にはミドル走の一部に閾値走を組み込むのが、楽しくて距離も踏めるのでオススメです。
ビルドアップ閾値走
Mペースの手前から始めて、ラストTペースまで持っていくビルドアップです。
ダブル閾値走
閾値走を2発打ち込む荒業です。間は5分または1km程度のインターバルをとりましょう。
40分閾値走
長くTペースで走り続ける、わりと強度の高い練習です。
かなりタイムトライアルに近い、実践的な練習といえます。
ミドル走で慣れておく
10kmのTTだからといって、最大で10km走るようなトレーニングではいけません。
必ず、週1回でいいから(欲をいえば週2で)15~20kmは走っておきましょう。
なぜなら、10kmという距離に対する免疫をつけるためです。
初心者の頃は10kmは途方もない距離でしたが、コンスタントに15~20kmの距離を走るようにしておけば、10kmはあっという間に感じられるようになります。
長めに走ることで練習のバリエーションも増やせるので、楽しみながら目標を目指すことができます。
3分台に慣れておく
逆にスタミナタイプの方は、そもそもスピードを上げること自体が苦しいと思います。
短い距離に分割しても良いので
- ヤッソ800
- ウェーブ走
- レペティション
- インターバル走
- ウインドスプリント(WS)
- SIT(Sprint Interval Training)
【必勝法】何度もタイムトライアルで失敗しておく
10kmのタイムトライアル(TT)で記録を更新するためには、失敗に臆せず何度もチャレンジしておくことが、一見遠回りのようにみえていちばんの近道です。
後ほど紹介しますが、私も計3回失敗し、不死鳥のごとく蘇ってきました。
失敗する中でも
- どれくらいのピッチで刻むのがいいか
- ポジティブスプリット?イーブンペース?
- どの程度のウォーミングアップが必要か?
- 補給は要るか?
- 走りやすい気候は?
等、学ぶべきことは多かったですし、実際にそれが本番にも活きました。
さらにいうと、「失敗の仕方」にもコツがあります。
それは、
ダメージを残さないためというのもありますが、何より10kmTTに対する苦手意識を植えつけないためという目的があります。
なので、ムリに走り切って爆死ではなく、途中で諦めてしまいましょう。
しかし、転んでもただじゃ起きません。
その「諦め方」が重要で、例えば
- 5km+5kmの分割走にする
- 上げずにペース走にする
- 一旦落として再び上げてウェーブ走にする
とりもなおさず「別に10kmTTなんてするつもりなかったし」と記憶をすり替えてしまうためです。
うまくマインドコントロールして、再起を図りましょう。
3ヶ月間のトレーニング内容
さて、ここからは私が実際にこなしてきた練習スケジュールです。
(前述の課題対策や失敗TTも含まれています)
スケジュールをご覧いただく前に、挑戦前のスペックと達成までの戦歴を載せておきます。
- 4/4 10km 40'58
- 4/26 Half 1:29'16
- 5/31 5km 19'54
- 6/13 10km DNF
- 9/13 10km 39'40
6月 TT失敗
6/13(土)に初挑戦し、DNF。
ここから戦いが始まりました。
6/20, 6/27…と毎週のようにチャレンジして失敗。
前掲のように、ペース走にしたりウェーブしたり、分割走したりして、記憶から抹消しました(と言いつつ、ふり返って思い出すw)
7月 脚づくり
7月に入って暑さが増してくると、すぐに心拍数が上がってしまうので、TTは一旦休戦となります。
代わりに平日の早朝にミドル走(18km前後)を取り入れたり、週末はペースを落として30km走したりと週に3日は10km以上走る日を設けました。
10kmを「短い!」と感じさせるための自己暗示ですw
8月 仕上げ
刺激を入れつつ、最終チェックをしていきました。
- ペース走
- ヤッソ800
- クーパーテスト
ちなみに全期間をとおして、VO2Maxを維持する目的でSIT(Sprint Interval Training)は週2で継続しています。
ここで自信はつきましたが、万全を期すために涼しくなるのを待ちました(ズルい)。
8/23 ペース走
おはようございます!
— アオヤマユウキ🌵MADANAO-RUNNER (@you_key69) 2020年8月23日
🏃17.77K #HISワールドチャレンジ
・ジョグ
・10Kペース走(設定4'15)
昨日の峠走とのセット練のイメージ。次の目標は10km40分切りなので、ひとまず現状確認のためにぺーランしてみました。涼しさも手伝ってラスト上げられたのは収穫です😌
皆さま、今日も良い一日を! pic.twitter.com/evmnQX7xNT
閾値ペースで10km走る練習。
ラスト余力が残せて上げられたので、勝算ありでした。
8/25 クーパーテスト
おはようございます!#クーパーテスト(12分間走)
— アオヤマユウキ🌵MADANAO-RUNNER (@you_key69) 2020年8月24日
🏃3260m(av.3'41/km)
⏲️VO2Max 61.2
今日はクーパーテストの日。蒸し暑いけど、月1ノルマなので一応…と試したら自己新記録達成!この夏の成果でしょうか。最近の上げグセが功を奏しました😌
皆さまも良い一日をお過ごしください! pic.twitter.com/qUYlXFgi8v
クーパーテスト(12分間走)で、3260mの自己最高記録を達成し、VO2Maxも最高潮に。
8/30 ヤッソ800
おはようございます!
— アオヤマユウキ🌵MADANAO-RUNNER (@you_key69) 2020年8月28日
🏃15.6K #HISワールドチャレンジ
・ヤッソ800未遂 6K
・UP/DOWN 9K
ヤッソ試してみるか!と意気込んだのに2セット目でワークアウト終了の通知が。痛恨の設定ミス😱
その後手動でラップを切るも集中力が続かず半分で終了。このペースだと死ぬよというお告げだったということで😅 pic.twitter.com/x42zERD5Hi
サブ3設定で800m・3分(3'45/km)をこなしました。
手違いにつき6本で終わってしまいましたが、とにかく3分台のスピードでもついていけることが確認できました。
9月 疲労抜き~本番
9月に入り、涼しくなったこともあり調子にのってダブル閾値走という飛び道具を繰り出した結果、翌日アキレス腱に違和感を感じたので、一気に強度を落としました。
今ふりかえるとこれがうまくテーパリングとしてハマリ、TTのための体調が整えられた
9月のどこかで…と漠然と思っていたのですが、
- 疲労が抜けた
- だいぶ涼しくなった
- 小規模なレースの結果報告に触発された
レース当日の走り方
大事なことなので、もう一度いいます。
自分の弱点を理解し、カバーすることが本番当日の結果を左右します。マジで!
弱点は克服できるに越したことがありません。
が、得手も不得手も自分ひとりのチカラで成し遂げなければならないのがマラソンの苦しいところでもあり醍醐味でもあります。
以下は私が己の弱点をカバーした方法です。
イーブンペースで臨む!
キロ4ペースを超えると苦しくなるのは分かっていたので、変に温存してとかは考えない。
同じ理由で最初から突っ込むこともしない。
イーブンペースが絶対!
アラートはシビアに!
頼れるものは何でも頼りましょう。
GARMINウォッチのアラートも3'55/km~4'05/kmというかなりシビアな設定にしておきます。
苦しくて集中力が切れがちなので、アラート音が鳴ったらすぐに軌道修正できるようにスタンバイしておくのです。
ハムストリングを意識!
脚(特にふくらはぎ)が攣らないように、最初から最後まで大きい筋肉を躍動させる意識を持ち続けます。
変にストライドを伸ばすとかではなく、ハムストリングをフル活用して脚を運ぶイメージで。
また、経験的にピッチを190spm以上で回すと心肺が苦しくなることも分かっていたので、安定的にスピードが維持できる180spmを意識しました。
脳内BGMはGLAYの誘惑です笑
イントロのギターリフが頭の中で無限ループさせました。
【実録】私の10kmタイムトライアル
さて、当日は以下のようなコンディションでした。
- 2020年9月13日(日)
- 曇天・ 26℃
- 夕方 17:00
- 場所 1周約2kmの農道コース
ウォーミングアップ
ウォーミングアップには3kmジョグとWSを3本入れます。
とくにWSが大事で、ウォーミングアップの目的もありますが、
- 4'00/kmの体感ペースの最終確認
- 4'00/kmをラクに感じさせるための最後の悪あがき
いざ出陣!
スタート~6km
4kmまではカラダがキロ4分ペースに慣れず、
GARMINのアラートにケツを叩かれている状態がしばらく続きました。
5km以降にようやく慣れて安定してきました。
6km~8km
6km以降はあまりGARMINにも催促されることなく巡航できていましたが、7km時点で時計が27'59を示し、貯金がまったくない状況であることに気づかされます。
しかし、8月のクーパーテストで12分・3'41/kmで走りきれたことが自信になりました。
既に7km走っているとは云え、気温補正すれば勝てる!
残りも失速しない限り、4分未満ギリギリで堪え、余裕があればラスト数百メートルだけ上げよう、と。
気をとり直して、ハムストリングの上げ下げに意識を集中しました。
9km~フィニッシュ
ラスト1km時点、前回41分切りのときに味わった攣る予兆や、吐きそうになることもない。
ここでようやく確信。
予定どおり500mは落ち着いて走り、ラスト500mだけスパートをかけよう。
持てるチカラを振りしぼって、でもフォームはブレないように。
GARMINの10km通知を確認してフィニッシュ!
── 39'43
よっしゃアアア!
感動のフィナーレ
── いやあ、感動しましたね。
感激のあまり、思わずひとりで吠えてしまいました。
しかし、涙はサブ3のときまでとっておきます。
たかが10kmで大げさかもしれませんが、それくらいの達成感がありました。
クールダウン
最後、余力が残せたとはいえ、久々のタイムトライアルだったので精神的にも絞られました。
感傷に浸っている時間はありません。
コース脇においておいたアクエリアスビタミンを補給し、冷却タオルで汗を拭い、ダウンジョグの開始です。
油断は禁物。
トレーニングが終わった瞬間からアクティブレストは始まっているのです。
お疲れ様でした。
注意点
マラソンランナーにとっての10km・40分切りは、あくまで過程とわりきることが肝要です。
これには2つの意味があります。
あくまで主目的はマラソン
フルマラソンの練習の一貫として
スピード練習ばかりだと故障を招きかねません
10kmしか走れないカラダになってしまっては本末転倒です
40分切れてもサブ3できるとは限らないので、ここに固執しすぎてはなりません。
40分切れなくてもサブ3できる
裏をかえせば、40分切りができなくてもサブ3を達成できるランナーもいるということです。
- フルマラソンのサブ3は4'15/kmで42.195km
- 10kmの40分切りは4'00/kmで10km
スタミナタイプのランナーの場合、10kmの40分切りよりもサブ3を先にクリアしてしまう方もいるようです。
まとめ
陸上未経験者からすると、キロ4分以内で走り続けるなんて異次元だとおもっていました。
幾度となく失敗し、「ムリなのでは…」と挫けそうになったこともあります。
しかし、問題と真摯に向き合い、一つひとつ誠実に対処してくことで達成できました。
最終的には「情熱」だと思います。
ぜひ皆さんも、目標と現状のギャップを明らかにし、情熱をもってチャレンジしてみてください。
健闘を祈ります!