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【保存版】ランニング中の風対策・向かい風の活かし方【13コ】

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こんな方にオススメの記事
  • 強風の中、思うように走れない

  • 何とかして風と親しむ方法はないの?


  • 雨もテンションが下がりますが、強風の日もテンションが下がりますよね。

    しかも、よりによってレースやポイント練習の日に限って…

    これ、「ランナーあるある」だと思うんですよね。


    そんなこんなで玄関を出た瞬間、風の音を聞くと、もうテンションだだ下がり。

    この下がりゆくモチベーションを何とか下げないコツはないか、むしろこの風を活かす方法はないか。


    年中、伊吹颪(いぶきおろし、伊吹山から吹き荒ぶ西風)の中で走り続けるランナーが本気で考えてみました。


    風で走れない問題

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    ランナーにとって風は天敵ですよね。

    • 前に進まない
    • 息ができない
    • 寒い(特に冬)

    ゆえに強風が吹いているとそれだけで走るモチベーションが削がれてしまいます。


    特に冬は

    • からっ風
    • 木枯らし
    • 北風
    と、いろんな風が吹いてキツいです。


    そんな風に真っ向勝負を挑んでも返り討ちにあうだけなので、せめて歩み寄ることはできないのか。

    考えてみましょう。

    ランニングと風速の関係

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    ランニングをするにあたって走りにくくなる風の強さは「風速3m/s以上」と云われています。

    これは体感とおおむね一致するんじゃないでしょうか。

    なぜ向かい風がキツいのか?

    風速3m/sというとランニングのペースでいうところの5'30/kmです。

    つまり、止まっていたとしてもサブ4より速いスピードの風が直撃してくるのです。


    <参考>ペースと秒速・時速の換算表

    秒速(m/s) 時速(km/h) ペース(n/km) 目安
    2.8 10.0 6'00 顔に風を感じる
    3.0 10.9 5'30
    3.3 12.0 5'00 木の葉や細かい小枝がたえず動く
    3.7 13.3 4'30
    4.2 15.0 4'00
    4.8 17.1 3'30
    5.6 20.0 3'00 砂埃がたち、紙片が舞い上がる


    さらに。

    難しい理論は省きますが、向かい風による空気抵抗は

    • 速度の2乗で増大する
    • 身体の前部面積(身長)に比例する

    そうです。


    止まっていても風の影響を受けるのに、走り出したら速度の2乗で強さを増す。

    ただでさえ、速いスピードで走っていると空気抵抗を受けるのに、向かい風が強ければより抵抗を受けてしまいます。


    そりゃあ前へ進めなくなるわけです。

    なぜ追い風を感じないのか?

    風に関する「ランナーあるある」をもう一つ云うと、

    向かい風はすごくキツいのに、逆方向に走ってもぜんぜん追い風の恩恵が受けられない。

    ありますよね~

    でも、これは先ほどの風速表で考えればしっくりくると思います。


    風速2m以下はスロージョギングと同等の速さなので、それ以上のスピードで走っていると風は感じられません。

    風速3mでもランニングのペースが5'30/kmより速いと、追い風がランニングの速さに追いつけず、追い風が感じられなくなります。

    風速4mになるとサブ3ペース並みの強さになるため、追い風は感じられるかもしれませんが、逆に向かい風が強すぎて前に進めない悪環境といえます。


    結局、

    • 追い風は走るペースで相殺されてしまう
    • 強風が吹くと、追い風ではカバーしきれないくらい向かい風がキツくなる

    ということになり、ランナーにとって風は相性が良くないということになるのです。


    残念ながらわれわれには風をコントロールすることができません。

    しかし、風に対する解釈を変えることはできます。

    風速予報で風を知る

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    皆さん、走る前に天気予報はチェックしてると思います。

    でも、「」ってどうでしょうか?


    雨とか雪とかはある程度覚悟できていても、風は案外と見落としがちで、当日朝起きた瞬間に「しまった…」となるケースも多いんじゃないでしょうか?(私だけ?^^;)

    なので、そもそも風対策を考える前に、そもそも「風を知ること」が大事だと思うのです。

    もう風の予報はいつも確認してるよ!という方は飛ばして頂いてかまいません

    そう、「風予報」を確認することからすでに風対策は始まっているのです。

    Yahoo!天気

    みんな大好き「Yahoo!天気」アプリは天気や降水確率だけでなく、風速予報も確認できます。

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    矢印をタップすることで、風向きと風速とチェックすることができます。

    Windy

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    Windy」というスマホアプリもあります。

    このアプリでは直感的に風の強さが確認できます。

    ウェザーニュース

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    Webサイトであればウェザーニュースが見やすいですかね。

    デフォルトで風速が1時間ごとに掲載されているので。

    GARMINの風速計

    「風」ついでにGarmin Connectの風速表示についても少し付け加えさせてください。

    時速表示

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    上:Web版、下:スマホ版

    Garmin Connectの風速表示は、Web版でみるとよくわかりますが、単位は「kph」、つまり時速表示です。

    一瞬、

    えっ!風速15m!?台風じゃん!!

    と驚いてしまいそうになることがありますが、実は「15k/h = 4.2m/s」。

    風速4mなのです(それでもじゅうぶん強いですが)。

    風速の精度

    たとえ時速に換算したとしても、GARMINの示す風速が実態にあっていないことがあると思います。

    それはおそらく、ランニングを開始した地点にもっとも近い観測所から、開始時刻時点の最新情報(10分毎に更新)して記録しているため、場所や時間の誤差があるからではないかと推測します。

    ※GARMINウォッチ「ApproachS62」に基づく推測です


    なので、あくまで参考程度に捉えていただくのがいいとおもいます。

    ランニング中の風対策【10個】

    さて、少しずつ「風」に親しみがわいてきたのではないでしょうか笑


    いよいよ、ランニング中の風対策について、いくつかアイデアを紹介させていただきます。

    「対策」のほうが字面はキャッチーですが、実際は「対応」というニュアンスのほうが近いと思っています。

    ピッチを増やす

    人は接地しているときよりも、宙に浮いている時間が長いほど風に翻弄されるリスクが増えます。

    やはり地に足をつけていたほうが安定するので。


    よって、風が強いときほどピッチ(歩数)を増やして、地に足をつける時間を増やしましょう。

    そうやって少しでも粘るのです。

    前傾する

    向かい風の中を走るときは、前傾姿勢になることで

    • ふんばりやすい
    • 前部面積が減らせる
    • 空気を後ろに受け流しやすい

    というメリットがあります。

    向かい風の強さにもよりますが、基本姿勢は前傾で。


    強風の場合はむしろ向かい風に体重を支えてもらうくらいの感覚でもたれかかっても良いでしょう。

    後述しますが、強風をあえて前傾姿勢の練習に使うこともできます。

    肘を鋭角にたたむ

    腕振りの際は、肘(ひじ)を鋭角に曲げましょう。

    ムダな動きが少なくなり、効率的に肩甲骨→骨盤→脚を動かすことができるようになります。


    何より、腕をコンパクトに折りたたむことで、空気抵抗が減らせるのです。

    横向きで呼吸する

    向かい風に向かいながら大きく息を吸うと風がダイレクトに肺に入り込んできて一気に苦しくなります。

    なので、吸う時だけでも顔を横に向ければ肺へのダメージを緩和することができます。


    ただし、やりすぎるとバランスが崩れるし、視界もずれるのであまりオススメはできません。

    苦しくて息ができない、いざという時の隠し玉として持っておいてください。

    追い風で±0にする

    向かい風で頑張っても良いことがありません。

    カラダが前に進まない上に、呼吸も乱してきます。


    なので、向かい風では頑張りすぎず、追い風で±0にするくらいの気持ちで挑みましょう。

    前述のとおり、追い風を受けてスピードが速くなることは期待できませんが、どちらかというと追い風になったときに頑張るということです。

    ただし、コースによっては必ずしも向かい風の後に追い風がくるとも限らないのが難しいところではありますが。

    コースを工夫する

    走るルートにもコツがあります。

    それは

    風向きに対して、垂直方角に走る
    ということ。

    風は変えられませんが、風向きは変えられます。


    北風が強いなら、東西に走れば向かい風に合わなくなる。

    周回コースは必ずどこかで向かい風を受けるので、強風の日は往復コースに変えるなど、対処することができます。


    レースではさすがにコースは変えられませんが、自分に決定権があるのなら、コース設計を工夫してみるといいでしょう。

    そのためにも同じ距離でもいくつかコースのバリエーションを持っておくと強いです。

    アイテムに頼る

    空気抵抗を受けにくいウェアで走るのも工夫のひとつです。

    たとえば、

    • タイツ
    • サングラス
    • コンプレッションウェア


    水泳界のレジェンド、イアンソープは水の抵抗を極限まで抑えるために全身タイツを身にまとい、数々の金字塔を打ち立てました。

    陸上でも同じです。


    できるだけ空気抵抗の少ないタイツ系のウェアを着てみるのも良いでしょう。


    また、つばのあるキャップは飛ばされやすいので、後ろ向きにかぶる。


    寒ければウィンドブレーカーを羽織る。

    ウィンドブレーカーは字のごとくWindをBreakするから、そりゃ強いです。

    風避けに頼る

    コロナ禍ではもはや夢のような気がしてきますが、気兼ねなくマラソン大会に参加できるようになれば

    誰かに風除けになってもらう
    という方法もあります。


    キプチョゲ選手がフォーメーションを組んで2時間切りを達成したのは記憶に新しいです。

    あれはインパクトがありました。


    本当に人が前にいると風除け効果があるんだ、と素人ながらに衝撃をうけたほどです。

    先頭ランナーの後方1mの位置を走る選手は、前の選手が風除けとなって空気抵抗に対するエネルギー量の約80%が軽減され、2m後ろならば約40%軽減される

    という研究結果もあるそうなので。


    自分の目標ペースで走っている背の高いランナーを見つけて後ろにつけるといいですね ^^

    決して、集団走を推奨するものではありません。
    時勢柄、ソーシャルディスタンスには配慮のうえで走りましょう。

    風を覚悟する

    風に関していうと、あらかじめ心構えができているか、メンタル的な要因も大きいです。


    山の麓や海の近くなど、地理的に年中風が強い地域があります。

    たとえば、遠州地方(静岡県西部)では年中、ものすごい強い風が吹き続けています。


    そのような地域で走られる際は、もはや風が吹いている前提で走ったほうが良いでしょう。

    風が弱ければラッキー」くらいの気持ちで臨むのです。


    前述の風速予報を使いつつ、あらかじめ覚悟を決めておくのです。

    日を改める

    空気抵抗の理論に基づくと、向かい風による影響をもっとも低減し、追い風の恩恵をもっとも受ける方法は「走らないこと」です。


    決して休足日にしようということではありません。

    たとえばウォーキングに変えるだけでも違います。


    歩いていれば、向かい風による空気抵抗は減りますし、追い風の場合は前に進みやすくなります。

    予定していたポイント練習やタイムトライアルは日を改められるのなら、リスケするのもありです。

    向かい風の活用法【3つ】

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    キッツい向かい風をあえてトレーニングに活用してしまう方法をご紹介します。

    負荷ととらえる

    風は坂トレーニングと共通する部分があります。

    向かい風は上りのごとく苦しくて、追い風は下りのごとく楽です。


    なので、坂と同じように風はあえて負荷だととらえましょう。

    この場合は真っ向勝負で挑んでもかまいません。


    逆風に耐えてこそ、風向きが変わったときに本領を発揮できるというものです。

    前傾姿勢の練習にする

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    より具体的な話に入ります。

    向かい風が強いとき、思いきってカラダを前に預けてみてください。


    前傾の感覚をつかむために

    • ロープを腰にくくりつけて後ろに引っぱってもらい、前傾姿勢をとる
    • 壁についた両手に全体重をかけて、前傾しながら足踏みする

    というようなトレーニングよく見かけませんか?


    向かい風を利用すれば、それを一人でも試すことができるのです(しかも走りながら!)。


    強烈な向かい風が吹いてきたら、いっそ全体重を向かい風に預ける勢いで前傾してみましょう。

    そのまま腿を高く上げて、空中で脚を入れ替える。

    そして、真下に脚を下ろした反発で前に進みます。

    腿上げドリルの実践するのです。

    ただし脚でふんばろうとして接地時に膝が曲がったり、腰が落ちないように注意してください。

    脚で頑張るのではなく、あくまで地面からの反発をもらって前へ進むトレーニングにするのです。

    すると、

    これくらい前傾しなきゃ反発がもらえないのか!
    と驚く瞬間が訪れるとおもいます。

    夏は涼しい

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    デメリットが多い「風」ですが、唯一メリットと感じる局面があります。


    それはです。


    汗をかいたり水を浴びたりすると、気化熱の働きで表面温度を下げてくれます。

    いわゆる「打ち水効果」というやつですが、風が吹くと、その打ち水効果を促進してくれるんですよね。


    そもそも、風に吹かれると涼しいというのもあります。

    扇風機と一緒です。


    灼熱地獄でも風があればがんばれます。

    注意点

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    どうでしょう、風と仲良くなれそうでしょうか?


    しかし、自然の前には人間は無力です。

    時に自然は無情に牙をむいてきます。


    最後に注意点を3つ、掲げさせていただきます。

    転倒のリスク

    突風が吹くと足元がすくわれそうになるときがあります。

    前後からの風なら耐えられたとしても、特に急な横風は怖いですね。


    クルマと一緒でスピードが出ているときほど、横風に対する耐性は弱まります。

    転倒しないようにペースを落とすなり、横風に気をつけましょう。

    云うまでもありませんが、暴風警報が出ているようなときは走っちゃダメです ><

    低体温症のリスク

    夏は涼しいですが、冬の風は一気に体温を奪ってきます。

    気温や天候にもよりますが、低体温症にならないように気をつけましょう。

    目にゴミが入るリスク

    風が強いとゴミや虫が目に飛び込んでくるというリスクがあります。

    そんなときはサングラスで予防しましょう。


    もっと大きなものが飛んできそうな暴風のときは、潔くDNS(Do NOT Start)することをオススメします。

    まとめ

    物理学には「作用反作用の法則」というものがあります。

    押したぶんだけ押し返されるというやつです。


    風による空気抵抗はまさにそれを実感します。

    なので、いかにぶつかりに行かないか。


    それは物理的にもそうですが、精神的にも同じことが云えます。

    気持ち的に受け流すことが大事。


    すなわち「自然の摂理に従う」ということが大事なのです。

    自然に抗うことなく、すべて受け入れながら駆け抜けて行きましょう。