こんな方にオススメの記事
まあまあ、落ち着いてください。
今、コーヒーを淹れますから。
物事には表裏があります。
そんな話をしましょう。
「漸進性の原則」とは
漸進性は「ぜんしんせい」と読みます。
漢字の「漸」は「だんだん、しだいに」という意味。
つまり、漸進性の原則とは
- トレーニングを続けて体力がついてくると、同じ負荷でトレーニングを行っても効果が現れなくなる
- 筋力や技術力の向上に伴い、徐々にトレーニングの負荷や難易度を上げていくことが大事
読んで字のごとく
【復習】トレーニングの5原則
「漸進性の原則」は先日ご紹介した「トレーニングの5原則」の1つです。
5原則は以下のとおり。
- 反復性の原則
- 個別性の原則
- 漸進性の原則
- 意識性の原則
- 全面性の原則
トレーニングの効果を最大限に引き出すための原則なので、今回の「漸進性の原則」も大事ですよ~ということです。
【補足】過負荷の原理
トレーニングの5原則以外に「3つの原理」というのもあります。
- 過負荷の原理
- 可逆性の原理
- 特異性の原理
ここで詳しくは紹介しませんが、その中の「過負荷の原理」も似たようなことを説いてくれています。
- 日常生活以上の負荷をカラダに与えなければ、トレーニングの効果は現れない
- カラダに変化を出すためには、つねに負荷を高めていくことが必要
- 別名:オーバーロード
過負荷の原則も似たような意味ですが、漸進性の原則は「徐々に」が強調されていることがわかります。
ランナー向けの漸進性の原則
漸進性の原則をマラソンランナー向けのトレーニングに落とし込むとどういうなるか。
少しお付き合いください。
マラソン完走狙いのトレーニング例
走るのに慣れてきた方は、少しずつ負荷を上げてみましょう。
例えば、
- 少しだけ距離を伸ばす
- 時間を長めにとってみる
- 少しペースを上げる区間を作る
少し早起きしてみる、なんてのもいいですね。
毎日上げなくてもOKです。
1~2週間くらいのスパンでも効果は感じられます。
サブ4狙いのトレーニング例
マラソン完走し、次はタイムを狙いたい!という方は、新しい練習を少しずつ取り入れていきましょう。
- 終盤に向けて少しずつペースを上げてみる(ビルドアップ)
- 1kmごとにスピードの緩急をつけてみる(ウェーブ走)
- ジョギングの最後にダッシュしてみる(ウィンドスプリント)
取り入れた上で、さらに
- ビルドアップの上げ幅を少しずつ広げたり
- スピードアップする区間を少し伸ばしたり
- ダッシュの本数やスピードを少し上げたり
するなど、徐々に上げていきます。
ランニングは数値化できるので、前回との比較がしやすくてありがたいですね。
3つの注意点
いかがですか?
「そんなこと云われんでも意識しとるわい!」という意見が大半だとおもいます。
そうですよね。
一見、漸進性の原則は当たり前のようにみえます。
しかし、この原則の大事なのはむしろ裏の側面。
どういうことかというと、漸進性の原則は
- 急激に上げないこと
- 違和感を感じたら振り返ること
- 進む方向を見誤らないこと
このように、注意を喚起してくれているんです。
すこし解説します。
急激に上げない
漸進性の原則は、本来「ずっと同じ負荷ではいけない」ことを戒める原則です。
しかし、一方で「急激に上げてはいけない」ことを指摘しているとも云えます。
私の失敗談
昨年の秋、どうしてもサブ4したくて、サブ4ランナーさんたちのトレーニングを片っぱしから試していた時期がありました。
- 平日も早起きして10km走らなきゃ
- 毎週末、峠で30km走らなきゃ
- 夜も走って二部練しなきゃ
そんな慣れないことを急にやりだしたもんだから、肉離れを発症し、半月ほど走れなくなってしまったのです。
ダメなのは急にいろいろやってしまったことです。
これでサブ4できる!とワクワクしていたのに、カラダが耐えられませんでした。
情けない話ではありますが、無理は禁物ですね。
違和感を感じたら立ち止まる
これは強くなる上で、特に大事なことです。
だんだん負荷を上げていく過程で、
- 肩が凝った
- 脹ら脛が痛くなった
- 脛が張ってスピード出せなかった
とか色んな壁にぶち当たると思います。
それをただ単に
- たくさん走ったから疲れたんだ
- スピード上げたから痛くなったんだ
と結論づけておしまいにしてはいけません。
マラソンは、都度
- どうやったら疲れないか
- どう走ったら痛くならないか
なので、違和感や不具合を感じたらカラダと向き合い、手を差しのべてあげましょう。
痛みは頑張った勲章ではありません。カラダが悲鳴を上げてるのです。
私の経験
大きな故障は肉離れくらいでしたが、小さい不具合は上げればキリがありません。
たぶん皆さんもそうだと思います。
たとえば私の場合は以下のように乗り越えてきました。
- 肩こり → 腕を振る
- くるぶしの痛み → 冷やす
- エネルギー切れ → 補給食
- 脛の痛み → ピッチを上げる
- 股関節の痛み → 一直線に着地
- ふくらはぎの痛み → 腿を上げる
道具に頼ることもありましたが、ほとんどがフォームを変えることで解決できました。
フォームを改良し、違和感なくラクに走れるようになることで、自ずとペースも上がっていった感じですね。
進む方向を見誤らないこと
当然ですが、漸進性とはいえ必ずしもスピードを追求しなければならないことはありません。
- スピード
- 距離
- 時間
- その他
向かう方面は人それぞれです(個別性の原則)。
ただ、たとえ「生涯ゆっくり長く走り続ければいいや」というスタンスでも徐々に負荷を上げていくことをお勧めします。
なぜなら、同じ負荷なら人間は必ず衰える方向へ進むからです(可逆性の原理)。
原則とか原理とか口うるさくいってすみません^o^;
しかし、それが真理なので、進む方向は違えど「徐々に上へ」は頭の片隅においておきましょう。
私の漸進性
もともと私はスピードも距離も時間も無関心でした。
身近にある景観遺産(文化財のようなもの)をジョギングで巡るのが好きで。
好きが高じてだんだん遠くまで足をのばすようになり、20kmを越えたあたりでハーフマラソンを意識しはじめました。
つまり「スタンプラリーを少しずつ集める」ような漸進性もありです。
結果的に人生が飛躍的に充実するようになったのですから!!
あっぷりへんしょん ~結局は積み重ね~
最後におさらいです。
- 1週間前より負荷を上げてみる
- たとえばペースや距離、時間など
- 継続日数やスタンプラリーでもいい
- 新しいトレーニングに挑戦してみる
- 但し、急激に上げない
- 痛みや違和感を感じたら振り返る
- 人によって進む方向は千差万別
その積み重ねが根を張り、茎を伸ばし、やがて大輪の花を咲かせることとなるでしょう。
共に、伸ばそう。
徐々に、ね。