本日手にとったのは林望先生の『リンボウ先生の書斎のある暮らし』。
さすが、文学や英国に造詣の深い先生だけあって、菅原道真公だったり英国のライブラリー等、さまざまな切り口で「書斎」を語る。
その中から、念頭に置いておきたいとおもわされた「硯屏(けんぴょう)」の考え方について記しておきたい。
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リンボウ先生の書斎のある暮らし―知のための空間・時間・道具 (知恵の森文庫)
- 作者: 林望
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/02
- メディア: 文庫
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硯屏(けんぴょう)とは何か?
快適な書斎ライフをいとなむために、「硯屏」の考え方は無視できない。
少し長めではありますが、大事なことなのでそのまま本文から抜粋します。
文房具といいますと、昔から、「文房四宝」といわれるものがあります。筆、紙、硯、墨、がそれですが、そのほかに、硯屏(けんぴょう)なんてものも大事な文房の具であった。書斎の道具というのは、あえて俗な言いかたをすれば、そのどれについても、文人墨客たちは、いわゆる「こだわりのもの」を用意するということがありました。これは、単に趣味というだけではなく、実用的にも、たしかに意味のあることでした。
(中略)
硯屏というのは、何かと言いますと、いまは全くそういうものはなくなってしまいましたが、石でできた小さな屏風です。屏風といっても、一枚のもので、翡翠などの玉石でできていて、表面に石の模様が浮き出ている。その模様が、天然、自然の山水画のように見えるわけです。
これは何に使われたかと言うと、文人たちが本を読んだり、ものを書いたりしていて疲れたときにふっと見るんです。そうすると、それによって目が休められ、心が慰安される。以て、精神をリフレッシュして、またものを書いたり読んだりに集中できる、とそういう用途のものだったのです。だから書斎には良い景色が必要だというのと、いくらか似た意味で、美しい硯屏は、机上の小山水であったということもできましょうか。
現代の「硯屏」はべつに天然石でなくても構わない。
癒しのグリーンをおくというのも最近よくみかけるし、昔からつづく男のロマンの代名詞のようなプラモデルを飾るというのも「硯屏」の役割をはたすだろう。
ひと息つきたいときや、ふとリフレッシュしたいときに、眺めて癒しをかんじられれば良い。
僕の場合は、以前つくったおりがみのブラキオサウルス骨格だろうか。
改造したワイルドミニ四駆だってそうかもしれない。
そういう「こだわりのもの」に囲まれていると一見、書斎や机上がごちゃついているようにみえる。他人からすると。
でも、これからはそんな状況を咎められたとしても、僕は自信をもって抗弁できるだろう。
「これも知的生産のために、やむをえないのだ」と。
皆さまもぜひ、マイ硯屏を見繕って心地よい書斎ライフを営んでみてはいかがでしょうか。