まして、泳ぎになんてめったに行かない。
そんな 「海賊と呼ばれない男」の ぼくが、湘南の海で「しくった!」という経験から「来年こそは海に行こう」と決意することになった。
そのストーリーの一部始終を紹介しよう。
■寺院でもカフェでもなく、海岸
先日、鎌倉に行った。8年ぶりに。
以前は寺院やカフェ、ギャラリーなんかを見てまわったが、今回はちがう。
江ノ電、大仏、水族館と、大人の欲求を満たしつつも、子どももたのしめそうなスポットをめぐる。
そして旅の締めはビーチ。
海のない県、岐阜県からせっかく海のある街におとずれたので、最後に砂浜につれていくことにした。
が、海岸につれていくやいなや頭を駆けぬけたのが「しくった!」という感情である。
ぼくが海ギライなもんだから、息子にとっては初めての海。
水遊びも泥遊びも大好きな息子はリミッターがはずれ、おおはしゃぎ。
ちょ、ちょ、ちょ、ちょッ!と焦る父親をふりきり、頭から泥をかぶり、服着たまま波打ち際につっこんでいく。
写真なんて撮る余裕もなかったので、その凄惨な絵は残せていないが、無防備でいったもんだからそれはもうトンでもないことになった。
エキサイトするわが子を制止しながらも、頭のなかはもう、来年を見据えていた。
来年こそはゼッタイ海に行こう ──
夏にプールなんかでごまかしていたが、自分の好き嫌いだけでスケジュールを立ててはいけない。
そんな過去を省みて、行きたいとこリストに「海」を登録した。