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フレームを広げて前進する ~LUNA SEAとGLAYの新譜アナリーゼ~

LUNA SEAのニューアルバム、GLAYのニューシングルを買った。
 
LUNA SEA全員が「いつ死んでもいいように」とタイトルに「遺書、遺言」の意を冠した《A WILL》と、GLAYをして「今のGLAYはこれです」と言わしめた3曲入りシングル《DIAMOND SKIN》である。
 

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そんな彼らの「今でしょ」の権化のような作品だからこそ、今聴きたい!と直感した。
 
彼らの新譜を買うのは実に13年ぶりである。
 
13年前と同じようにふつうに聴いても面白くないので、作曲のフレームワークの観点(聴点?)で聴いてみることにした。
 
さしずめ「フレームワーク鑑賞法」である。
 
 

LUNA SEAは「リズム」を広げる

作曲のフレームワーク「メロディ」「音色」「リズム」の中で、LUNA SEAは「リズム」、GLAYは「メロディ」を伸ばしてきてるな、ということである。
 
その理由は曲の作り方にあるのではないか。
 
というのもLUNA SEAは全員Protoolsの使い手で、一人一人がある程度曲をカタチにした状態で持ってくるらしい。それぞれ自分のパートをプライベートスタジオに持ち帰ってアレンジ・録音するなんてのも珍しくないようだ。
 
SUGIZOは「真矢の叩きたいフレーズを作らせたら世界一」と自負するくらいドラムパートまで完全に作り込んでくるという。
 
実際ドラムパートまで作曲者が作ってしまえば、全体の舵取りがしやすくなる。ここはシンコペーションでとか、ここは変拍子でってのが伝えやすいから。
 
だから凝ったリズムパターンの楽曲も作りやすいんだと思う。
 
こんな感じの↓
 

Luna Sea - Metamorphosis - YouTube
 
個人的にはシングルカットしてもよいくらいの完成度だけど思ってるけど、商業目的には不向きかも?
 
いずれにせよ、曲の作り方でフレームの中身も決まってくる気がする。
 
 

GLAYは「メロディ」を広げる

GLAYのメロディは今回の《虹のポケット》でも採用されている大逆循環コードが多いことで知られている通り、メジャー(長調)系の曲調が多い。
(逆にLUNA SEAはマイナー(短調)やサブドミナント系の曲調が多いという棲み分けがある)
 
コード進行については大逆循環から代理コードを経て、新しいパターンを模索しているように思う。
 
VImやVmクリシェなどコードの組合せパターンを《ここではない、どこかへ》あたりで新境地を開拓しているような気がする。そう、その曲名にTAKUROのフロンティア精神が如実に表現されているのである。
 
そして今回ももちろん一押しのコードパターンがある。
 
DIAMOND SKIN》のイントロ、Bメロ、サビで登場する「F#7」のコードだ。
 
     A - B - C#m - F#7  - A - B- C#m - C#7
 
嬰ハ短調(C#m)における「ラ#」が演出する疾走感は、ミディアムテンポに採り入れると逃避行感が出る。
 
 
このリディアンめいたスケールが、禁断の恋を表現している考えても考えすぎではないはずだ。
 
以前のインタビューにもある通り、曲の作り方もLUNA SEAとは正反対で、楽屋でギターをつま弾きながらメロディを作っていくとか。
 
つまり和音楽器(と呼ぶのかは定かではないが、和音を鳴らすのに向いてる楽器)で曲を作るときは、コードにこだわりが出てくると思う。
 
で、コード進行ってだいたいパターンが決まっているので、マンネリ打破のためにも新しいパターンを追求するというのはごく自然な流れだろう。
 
 

▼あっぷりへんしょん ~変わらないフレームがバンドのフィロソフィー~

LUNA SEAは「リズム」フレームを拡張し、GLAYは「メロディ」フレームを伸ばしてきた。
 
しかしながら両者とも変えていないものがある。
 
それは「音色」である。
 
メンバーチェンジもなく、ツインギターも相変わらず役割が明確に分担されてて新曲にもかかわらず懐かしさを感じてしまう。
 
新しい楽器を取り入れたり、奏法を変えたりといったことはせず、むしろ同じフレームを貫くことで「らしさ」という哲学が生まれる。
 
永きにわたって活動を続けるバンドには音楽性以前に信念が要ることだろう。その信念に共感した者たちがSLAVE(虜)になる。
 
つまりフレームワークはアーティストの哲学に通ずるのだ。深いねえ。
 
 
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