グレッグ・マキューン著『エッセンシャル思考』。
- 作者: グレッグマキューン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2014/11/19
- メディア: ペーパーバック
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2014年の発売直後に読んだはずだが、あらためて人にすすめられたので再読した。
人にすすめられてしまうくらい、まだそのエッセンスが自分に染み込んでいない証拠だろう。
『エッセンシャル思考』の云わんとしていることは何だったのか。
もういちど探ってみた。
トレードオフを受け入れる
エッセンシャル思考の本質(エッセンス)は、トレードオフをみとめることにある。
戦略的ポジションは、別のポジションとのトレードオフなしには維持できない
あれもこれもだと中途半端になる。
完璧をもとめすぎるとスピードを損なう。
みんなを優先するのは、誰も優先しないのと同じだ。
と、本書は冷徹に説く。
非エッセンシャル思考の人は、トレードオフが必要な状況で「どうすれば両方できるのか?」を考える。だがエッセンシャル思考の人は、「どの問題を引き受けるか?」と考える。
そして受け入れた問題に対して徹底的に集中してとりかかるのである。
集中のしかたについては例えば雑音のない部屋にこもるなど物理的に集中せざるを得ない情況に自らを追いこむか、マインドフルネスのような精神的余裕をつくりだす、ということを勧めている。
90点ルールを取り入れる
どっちつかずで中途半端な解決策はおもいきって切り捨てたい。
最重要基準をひとつ用意し、その基準に従って選択肢を100点満点で評価する。ただし、90点未満の点数は、すべて0点と同じ。
これは小さな違いにくよくよ悩むことなく決断するためのよい手段である。
トレードオフを強く意識させるやり方だ。
迷ったら90点ルールを取り入れよう。
編集する
本書では「余剰を削り、本質を取り出すこと」を〝編集〟とよんでいる。
ただノーと言うだけなら、3歳児にもできる。編集の技術は、ただ減らすことにあるのではない。減らしながら、価値を増やすのだ。
90点ルールでトレードオフしたはいいが、本当に価値のあるトレードオフだったかはふり返らなければならない。
著者はこう云う。
エッセンシャル思考で生きるということは、削除と凝縮と修正を、日々の習慣にすることだ。
削りながら価値を高めていきたいものである。
あっぷりへんしょん ~「エッセンシャル思考」を読むだけではエッセンシャル思考は身につかない~
この本の本質は、トレードオフについて正しく判断することにあるとおもう。
ただ、肝心のトレードオフは状況によってかわるものなので、その時点でどこに価値があるかは臨機応変に判断していかねばならない。
トレードオフ、90点ルール、編集etc…本書にはテクニックや考え方がいくつか載ってはいるが、最終的に“どこに価値があるか”を正しくとらえられないと判断は真逆にもなり得る。
そういう力をつけるには、結局この本をいくら読んだところで足りない ──
という恐ろしいことに気づいてしまったのだが、これがこの本の云わんとしていることだったら、どうしよう。