■#63 お茶屋屋敷跡
赤坂には牡丹(ボタン)園がある。
景観遺産の中に。
とくに牡丹に思い入れはないが、あると聞くといってみたくなる。
景観遺産ジョガーの性である。
ボタンの開花時期は、4月末から5月上旬だそうだ。
小雨がふっていたが、今週をのがすともう見頃をのがしてしまうので強行するしかあるまい。
景観遺産ジョギングはいつだって小雨決行だ。
ということで向かったのは、お茶屋屋敷跡。
お茶屋屋敷跡については、市公式サイトの解説を引用しておこう。
お茶屋屋敷跡は、徳川家康が上洛の往還にあたって造営した将軍家専用の休泊施設の貴重な遺構です。ほぼ方形の縄張りをもつ城郭形式で、土塁・空濠で囲み、四隅に櫓を備え、東面中央部には大手門がありました。当時を偲ぶ土塁や空濠の一部が現在も残り、豪壮な居館の構えを伝えています。また、敷地内には数多くのボタンが植えられ、東海地方有数のボタン園として開花時期に公開されています。
遺構 meets ボタンという要素がすでにもうたまらない。
はやる気持ちをおさえ、ジョギングペースでかけ出した。
赤坂方面は3回目なので、もはや走りなれた片道7kmである。
小雨というより霧雨のなか、まずたどりついたのは、東側の外観。
竹林と紅葉がしげっていて、きっと紅葉の季節もたのしめるであろう風貌。
北側の入り口付近。
朝ジョギングにありがちな、営業時間前で入れないという事態はまぬがれられるか ──
開いていた(もちろん閉まっていたならこんなに煽りません)。
入り口の由緒がかかげられていたが、とにかく雨をしのぎたかったので、さっと一読し中にはいってみた。
#63 お茶屋屋敷跡
入ってみると、想像だにしていなかった癒しオーラ。
まさに息をのむ空間に息をのんでしまった。
こんな空間が大垣にもあったのか ──
突如としてお出迎えされる京都っぽさ。
これはもう小宇宙というより、小京都と書いて「コスモ」と読ませていい。
赤坂宿のコスモにジョギングの疲れも一気に吹きとんだ。
西側に牡丹園がの視界にとらえつつ、しばし敷地内を散策してみる。
そして、満を持しての牡丹園。
別の角度からの牡丹園。
何か違和感がありませんか。
足をふみいれる前から違和感があった。
牡丹が見あたらない、という違和感である。
いや、牡丹どころか、「花」という物体が見あたらないのだ。
たしかにぼくは花にかんする知識を大して持ちあわせてはいない。
でも、そもそも花弁らしきものが見つけられないのは、知識とかそういう問題ではないだろう。
よくよく見ると、このように ──
茎がスパッと切り落とされてるではないか。
その場に人もいなかったし、帰ってからしらべてみたが、いつ誰が切り落とした?のかわからなかった。
が、牡丹を拝むには時すでに遅しだったのだろう。
もともと牡丹が目的ではあったが、結果的にお茶屋屋敷跡の空間が見事だったので、個人的には満足である。
GWでも小京都(コスモ)がひとりじめできるのでオススメです。
ただ、ボタン目当ての方は切り落とされる前に行ったほうがいいですよ、ということだけ添えておきたい。
■あっぷりへんしょん ~時間帯をずらす、天候をずらす~
昔から人ごみを避けたいために季節をずらして訪れる、というのはよくやる。
GWに遠出しない、というのもそのひとつだ。
しかし、今さら気づいたことがあった。
それは時期をずらすのではなく、時間帯をずらすというライフハックである。
これは朝ジョギングの特権じゃないか。
たしかに朝早くて開いてないというリスクもある。
でも、季節の花でも朝早くに拝めば、人を気にせずたのしめる。
もっというと、天候をずらすという高等テクニックもある。
これは本降りでもダメで、天気予報では雨だっただけど結局あまり降らなかったね、くらいの運も味方につけねばならない。
ありがたいことに今回は早朝の小雨のなか、ボタン園を独占することができた。
まあ、肝心の牡丹が拝めなかったわけなので、そもそもみんなはそれを知っていてただ訪れていなかっただけなのかもしれないんだけれど。
どこで情報のボタンをかけ違ってしまったのだろう ──