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秀吉に学ぶ“戦わずして勝つ”戦略とは

『新史 太閤記を読みました。

新史太閤記 (下巻) (新潮文庫)

新史太閤記 (下巻) (新潮文庫)


人好きで人たらしの彼は、“調略”という術をひたすら活用し、「戦わずして勝つ」を実現した武将だったようです。


利害の反する相手を巧みに説得し、寝返らせたり、地形を利用して降伏させる“無血開城”を達成したり、ときにはハッタリをかまして相手を混乱させたり。


著者の司馬遼太郎は秀吉の戦略をこう表現しています。

かれ(秀吉)以前の軍事的天才たち──上杉謙信武田信玄でさえ──敵を肉眼で見てから合戦を開始した。

しかし秀吉の合戦は、敵を見たときにはもはや合戦のほとんどがおわっていた。

あとは勝つだけであった。

(中略)

味方を殖やし、敵の加担者を減らし、戦場に集結する人数は敵の倍以上ということを目標としていた。

合戦のもつ投機性を減らし、奇蹟を信ぜず、物理的にかならず勝つ態勢へもりあげてゆく。

(中略)

戦さは、それをはじめる前にすでに勝っていなければならぬ。

というのが、かれの思想であった。


と。


ぼくが大学院にいた頃、教授がよく云っていたことがあります。

“戦術”は戦う術のこと。

“戦略”は戦いを略す(省く)こと。


だと。


その当時は、ふーんとしか思っていませんでしたが(上っ面だけ、なるほど~と反応していた気がしますが)、今ならその意味がわかる気がします。


舞台は整ったとか、風向きが変わったとか云いますが、戦う前に舞台や風をあやつる必要があるるのです。


スポーツだったら体調管理はもちろん相手の研究や偵察なんかもそうです。


ビジネスなら事前のヒアリングや根回しがそれに該当するでしょう。


カタチだけの会議。結論は会議をする前から決まっている ──


というのは、時として会議不要論としてやり玉にあげられますが、提案者からしてみれば“してやったり”の結果なのです。


つまりダンドリが大事ってことですね。



下町ロケットの勝利の金言

下町ロケット -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX

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すこし前に観た下町ロケットでも必勝法に関する名言が、何度か登場していました。


まずは百戦錬磨、神谷弁護士の名言。

僕の裁判での勝率ご存知ですか?8割です。残りの2割は限りなく勝訴に近い和解です。

何故だと思います?負ける裁判をしないからです。


また、佃製作所の天敵、椎名社長は口ぐせのように

勝つべくして勝つ


と云っていました。


なるほど、彼の根回しは見上げたものです。


しかし、最終的に佃社長に

勝つべくして勝つなどという勝負はない。

本当の勝負は、勝つか負けるか、ギリギリのところにある。もし勝負を挑むなら、小細工などせずにぶつかってこい!


と論破されていましたが。


確かに、佃社長のいうことは正論かもしれません。


でも、運によるリスクを最小限に抑え、勝てる要素をじゅうぶんに整えたほうが、そりゃあ勝率は上がります。


「人事を尽くして天命を待つ」というのは、ダンドリをし尽くした者だけがつかえる言葉でしょう。


それでも勝算がないのであれば、「戦わない」という選択もありえます。


孫子の時代から「逃げるは勝ち」とも云いました。


うちの社長は新聞社の取材で「答えのない問題は解かない」というようなことを云っていました。


なるほど、みんな根底は同じところにあるような気がします。


負け戦をしないというのはいつの時代も鉄則なのかもしれません。



あっぷりへんしょん ~司馬遼太郎池井戸潤が止まらない~


『新史 太閤記』の次は、関ヶ原を読もうと思っています。

関ヶ原(上)(新潮文庫)

関ヶ原(上)(新潮文庫)


昨年、岡田准一主演として映画化され、話題になっていましたね。


ただ、読書部の同志に借りた『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』も気になってるので早く読みたいです。


ドラマについては『陸王』のあと、録画した年末年始の特番を観終わったので、次は『ルーズヴェルト・ゲーム』を観ます!