あっぷりノート

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大きなお世話を、小さなお世話に。

【エッセイ】通販カタログ │ 語感とニュアンスのあいだ

ブログの棚卸をしていたら、自分でもつくったことを忘れていたブログに行き当たった。


たしかにかつては渾身のネタだとおもい、備忘のために書きためていたエッセイだか、今ここに満を持して紹介したい。

ブログ「あちゅぺディア」

詳細はここを参考されたいが、要はぼくの妻の“迷”言集である。


あちゅpedia


雰囲気で意味はわかるけど、厳密にはちがうからね、という微妙なラインをついてくる言葉たち。


4年ほど前の文章なのでやや拙いが、それでもクスッと笑えてしまうエピソードがいくつかあった。


今回はそのなかから名作のひとつを(一部加筆・修正して)以下に紹介したい。


【あちゅぺディア】通販カタログ

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私は仕事柄、夜分遅く帰宅するケースが少なくない。そんな折には当然夫婦別々で夕食をとることになる。さすがに新婚で孤食は寂しそうと察知してくれた優しい妻は、食事をとらないまでも私の晩餐に付き合ってくれる…缶ビール片手に。

あの夜も例に洩れず、私がテーブルの傍らでまさに夕食をたいらげようとしており、その向かいで妻が通販カタログのDィノスを眺めていた。新生活が始まって以来、一緒に家具を買い揃える休日が合わない我々夫婦にとって、通販カタログは貴重な情報源の一であるのだ。

食卓を彩るディナーを前に私がイスに腰を据え、「いただきます」を云おうかと一呼吸おいた刹那。カタログを手にしていた妻が、沈黙を破るかの如く、闇をつんざくかの如く、急転直下に「まんぼぅ!」といなないた。

「まんぼぅ?」長年の付き合いだ、私には察知できた。雑誌できっと掃除機コーナーでも見ていたのだろう。───妻よ、それはきっと「マンボ」じゃなくて『ルンバ』だ。


(了)