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形容詞や慣用句は使わない『書いて生きていく プロ文章論』

今回は「形容詞を使わない」「慣用句を使わない」というルールを課して臨んでみる。
 
なぜならライターの上阪徹氏がそう奨めてるから。それだけだ。
 
 
 
上阪徹著の《書いて生きていく プロ文章論》を読んだ。
 
この本の趣旨をぼくなりに三本柱にまとめると
 
(1)「何」を「誰」に向かって「何のため」に伝えたいかを決める
(2)読んでもらえないことを前提に、冒頭から面白く、読み手に発見や驚きがあるか確認する
(3)形容詞や慣用句を使わず、平易な文章を心がける
 
という結論になった。
 
そこで冒頭に宣言したように「じゃあ形容詞と慣用句はやめてみようか」という心持ちになったわけである。
 
 

▼形容詞とは?慣用句とは?

形容詞は、「●●しい」というようにモノやコトの有り様を表す語句だが、広い意味では「●●的」というのも含まれるらしい。
 
また、慣用句は「2つ以上の単語の組合せから成る語句」のこと。
 
ことわざも似てるけどことわざは教訓を表すという特徴がある。
 
ちなみに著者の意思としては、慣用句にせよことわざにせよ、新聞・雑誌などメディアで「慣用的に」使われてる言葉を使わないようにしよう、ということである。
 
慣用句はまだしも形容詞までを封印するなんてなかなか普段意識しない。
 
ここで、ぼくは安易に「むずかしい…」と漏らしてしまいそうになった。安易に率直な感想を述べてはならないということにここで気づく。
 
どうやら客観視するというのもポイントで、それも伝えるための有効な手段なのだろう。
 
          ***
 
この本は本当にプロのライター向けに書かれた本のようだ。文章の書き方だけにとどまらず、インタビューの仕方まで書かれている。
 
目次はこんな感じ。
 
第1章・その文章は誰が読む?
第2章・伝わる文章はここが違う
第3章・プロ文章家の心得
第4章・「話す」よりも「聞く」のが大事
第5章・プロの取材はこう行う
第6章・「書く仕事」のキャリア作り
第7章・「職業文章家」として生きる
 
でもぼくはライターを目指しているわけではないので、実は半分しか読んでいない。
 
今必要なところだけこそぎ取ったのである。
 
 

▼エッセンシャル版

まずはこそぎとった内容をエッセンシャル版にまとめよう。所感は後ほど書くことにする。
 
(1)「何」を「誰」に向かって「何のため」に伝えたいかを決める
── 誰にいちばん伝えたいのか、その人の顔を、思い浮かべて書く
 
(2)読んでもらえないことを前提に、冒頭から面白く、読み手に発見や驚きがあるか確認する
── まずは、優先順位の順番で紙に書いてみる。「伝えたいことリスト」の作成。そして、どういう順番で文章を構成するのが一番いいのか、「伝えたいことリスト」を前に考えてみる。
── 導入に、最も印象深い内容、気になる内容を盛り込み、出だしに気をつける。基本的には読んでくれないもの。読み手のことを考えたら、冒頭から少しでも面白く読んでもらうことを意識するべき
── 「読み手はきっとこういうことは知らないだろう」ということを書く。できるだけそれを多くする。忙しい時間を割いて文章を読んでもらう。読み手に何かメリットがなければ申し訳が立ちません。
 
(3)形容詞や慣用句を使わず、平易な文章を心がける
── 「文章がうまいね」と言われたいと思いながら書いている文章というのは、じつは読み手にその思いそのものが感づかれてしまう。そして、そう感づかれた瞬間から、読者はそう思ってくれなくなります。
── 形容詞は使わない。数字や事実を意識する。それだけで文章は変わっていきます。

── 文章では「どう書くか」ではなく、「何を書くか」のほうがはるかに重要
── どうすれば読みやすくなるのか。まずは、できるだけ平易な言葉を使う。使い慣れていない言葉を、文章だからとわざわざ使うことはない。難しい感じが1文字あるだけで、文章を追っていた目が止まってしまうことがあります。
── あまりに安直に慣用句が使われているケースをよく目にします。しかし、「相場観」によっては手垢のついた表現に思えてしまう。それが、ポンと普通の人の文章にあるだけで、なんとも新鮮味のない文章に見えてしまう。
 
 

▼事実を書く?副詞を使わない?

3つにまとめるとどうも他の「文章術」系の本に書いてあったことと同じようになってしまうが、形容詞と慣用句を使わないというのは新鮮だった。
 
しかし、やってみると「形容詞や慣用句を使わない」ことよりも、事実を具体的に描写することや客観的に数値化することが大事なような気がした。
 
ただ単に「むずかしい…」と嘆くより、「ぼくはまっさらな原稿用紙を前に口をつぐんだ。唇と鼻にペンをはさむ。頬杖ついた手で頭皮を掻きむしる。髪が三本抜けた…」とか書くと筆が進まない様を表現できる。
 
そう、慣用句「筆が進まない」の代わりにもなる。
 
文章書くのが上手い人ってこういう描写が巧みなんだよね。語彙力以前の描写力。
 
 
あと持論だが、形容詞より「副詞を使わない」ほうがインパクトのある文章になるのではと思っている。
 
これは経験談。人を褒めるときに失敗したなあと思ったことがある。
 
店長時代、バイトくんに「ここ整理しといて」って指示した後に、本気で褒めたはずが、
 
「ありがとう、かなりキレイになったよ」
 
と云ってしまったこと。
本人はどう捉えたか分からないけど、
 
「ありがとう、キレイになったよ」
 
のほうが100%のぼくの気持ちが伝えられたのでは、とちょっと反省している。
 
そもそも副詞は物事の程度を表す。それを取っ払ってしまえば、物事はAll or Nothing、白黒がはっきりするのは当然かもしれない。
 
 

▼あっぷりへんしょん ~目的にあった文章を書く~

もう「形容詞・慣用句禁止」ルール解除していいですか…なんかうまく息ができない。 

要は自分の尺度ではなく、客観的な事実をもって伝える。 その際、よく分かっていないことばや曖昧な言葉で表現しないということ。
 
ぼくは覚えたテクニックに走りたがりなので注意しなければ…
 
 
…と、反省しかけたが、別に伝わりやすい文章を書く必要はないことに気づいた。
 
テクニック重視であえて分かりづらい文章を書いても良い。世の中には分かりにくいことがカッコいいとされる境地もある。それがテクニックや個性を披露するステージだから。

分かりやすい文章を書かなければならいときに限り、上述のルールを適用すればいいのであって、あとはTPOに応じた文章を先人たちから吸収していけばいいと思う。

つまり、目的を見失ってはならないということだ。
 

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