あっぷりノート

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棄てるのではなく研く

昔は「捨て曲なし!」の謳い文句に「そんなの当たり前じゃん」と思ってたけど、アートとデザインの違いを考えるようになってから、なぜ「捨て曲」という概念が生まれるか気づいた気がしました。
 
それは《ToppleDown》を作ったことで明るみに出たのです。
 
RFVサイクルを回してこだわりをスピードに繋げる - あっぷりノート
《ToppleDown》の苦悩

 
なぜ「捨て曲」が生まれるか?
それはアーティストがデザインを要求されるからです。
 
 

▼デザイナーである前にアーティストたれ

誰も作れなんて求めてないよ、と言われればそれまでですが、《ToppleDown》は作りたいというよりも、必要にかられて作った曲でした。そのうえ先述したように、何かとハードルの高い楽曲でした。
 
ハードルが高い上に、作りたい曲でもなければ「捨て曲」になっていた可能性はあります。
 
しかし、せっかく作るんであれば「捨て曲」になんかしたくありません。「デザイナーである前にアーティストたれ」と自分自身に喝を入れます。
 
ってことで、バロックとか鎮魂歌とか安直な発想ではあったものの、なんとかこだわりを貫くことができました。
 
ここで「こだわること」にこだわれなければ、人生初の「捨て曲」を世に送り出してしまっていたかもしれません。
 
シンフォニックメタルとかプログレとかフガッタとか、作ってみたいジャンルはまだまだたくさんあります。それがゲーム音楽に結びつけばなおのこと嬉しいと思っています。
 
最近お手本曲よりも苦手曲に力を入れすぎていたので、久々に「つくりたい曲」に回帰したくなりました。
 
以前にもお手本として掲げたSymphonyXを聴いていて改めてそう感じたのです。
 
 

▼使途不明の単に好きな曲をつくる

バックログの中に《Condemnation》の改修という課題があります。
 
《Condemnation》は、モチーフのモジュール化を打ち出すために作った曲でしたが、慣れない音色としっくりこない曲名であるがために、個人的にあまり好きになれませんでした↓

 
今にも「捨て曲」になりそうな、窓際族だったのです。
 
で、好きな曲を作ろうと思った時に、改めてコイツを再生させたいと直感しました。
 
《Condemnation》改め《The Slush》です↓
 
”slush”は「ぬかるみ」を意味します。 どろどろな低音の上に、ふわふわな旋律を乗っけるイメージで。
 
そのために、
【Melody】伴奏はできるだけ低音域
【Tone】オルガンをやめてピアノへ
【Rythm】ドラムキットを変更
というようにフレームワークも一新しましたよ。
 
まだ転調部分まで作れていないので、随時アップデートして磨いていく予定です。
 
 

▼編集後記

この歳になって《耳をすませば》を観るとまた違った印象を受けます。
 
「最初から誰も完璧を期待していない。ゆっくりと時間をかけて磨くんだよ」
 
西爺さんのコトバが非常に印象的でした。
 
スピードが求められる時代とはいえ、バイオリンや小説と同じように音楽も、作って棄てるのではなく、作り続けて研いていかないといけないですね。