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曲作りに手こずったら、まずはチップチューンでまとめてみる

 曲作りはいつも「ピコピコ音」で始めます。当ブログではおなじみかもしれませんが、しばしばプロトタイプ的な位置づけの曲をピコピコ音で紹介しています。

 
それは何故か?今回のテーマは、曲作りの取っかかりとして、ピコピコ音をおススメする理由を語ります。
 
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 photo credit: Stéfan via photopin cc

 

私が曲の作り始めに 「ピコピコ音」が相応しいと思っている理由は3つあります。
 
(1)ピコピコ音が好きだから
(2)MTRを伴ったコンデンススコアになるから
(3)音域や奏法に凝らなくていいから
 
下記にて、もう少し詳しく説明 (弁解?)していきます。
 
 

▼ピコピコ音が好き!

 私の云う「ピコピコ音」っていうのは、8bitの音源チップ しか使えなかったファミコンなどの家庭用 ゲーム機のBGM・効果音のことを云います。8bitチップの音源を再現してることから「チップチューン」というジャンルで、今もなお親しまれていたりします。
 
↓もちろんチップチューン専門のアーティストさんもいらっしゃって、こういう感じでちゃんと芸術として成立してるんです。

Magical 8bit Tour - YouTube
 
私のピコピコ・プロトとは大違いですが(^0^;)
 
ノスタルジー志向の方々でしょうか。ニーズがあるってことは、同じような感覚の人が多くいらっしゃるんでしょうね。VillageVanguardとかでよく流れてます。

SQ Chips

SQ Chips

 
 

MTRを伴ったコンデンススコアになる!

 コンデンススコアについては、以前編曲についての記事でも触れましたが、「コンデンス」とはミルクにもあるように、「凝縮された」って意味です。エッセンスがぎゅっと詰まってるんですね。
チップチューンではピコピコ音のみが利用されているため、音色のバラエティは少ない反面、曲全体の芯の部分だけが表現されています。
 
とりわけファミコンの場合は、当時の性能から8bitという制限もあったことから、いかに少ない音数で表現力を高めるかが問われました。だから、音色を宛がうだけで、ものすごく彩り豊かになるのです。それが、昨今ファミコンBGMをリミックスするっていう風潮につながっているんですよね。
 

Mega Man Rock Medley Vol.1 - YouTube
 
ちょいと脱線しましたが、ふつうコンデンス・スコアってのはピアノ譜で書かれることが多いです。ピアノ譜からカルテットに編曲していって…というパターンが一般的です。ピアノって1台でオーケストラを演奏できる楽器ですからね。でも、残念ながら打楽器パートは手薄になってしまいます。きっと、ピアノ弾きながらパーカッションも表現しようとすると、大道芸でも身につけていないかぎり演奏不能だからでしょう。
 
そこで、ピコピコ音の出番です。
 
以前別のブログにですが、「ピコピコ音にすればゲーム音楽ぽくなる」ということを書いたように、あえてピコピコ音にすることで、色んな 楽曲を「チップチューン」さながらに編曲することができます。
 
もちろんピアノ単体でも十分ですが、《フレームワーク作曲法》としてMTRの【Rythm】の部分が手薄になるのはダメージが大きいのです。特に、プログレ志向だとリズム隊がないのは致命的です。
 
一方、ピコピコ音ではパーカッションも表現することができます。「一つの音色だけど、MTRのすべてが表現できる」が実現できるのです。
 
 

▼音域や奏法に凝らなくていい!

今回、MainThemeを作成する過程で、ピコピコ音にすることの利点をもう一 つ発見しました。
 
それは、「音域や奏法に対する配慮が最小限にとどめられる」ってことです。
 
たとえば、お手本に挙げた 《Grandia'sTheme》や《MainTheme/JurassicPark》は、模したい楽曲であることは間違いないのですが、なんせオーケストレーションやら吹奏楽など、楽器に対する知識がものすごく要るのです。とりあえず的な作り方をすると、あとで楽器的に演奏不可能とか不自然な箇所がしとどにあふれかえってしまう恐れがあるのです。
 
一方、ピコピコ音は主としてシンセサイザー音源ですから、多少の無理は聞きます。多少不自然な音色だとしてもエフェクトだってかけられるし、トランスポーズ(移調)も自由自在だし、要するにツブシが利くわけです。 チップチューンであれば、8音以内で表現することが理想ですが、コンデンススコアを作るという目的ならこの限りではありません。
 
結論としては、ピコピコ音なら「とりあえず」的な作り方をしておいても、違和感を与えにくい。つまり、「アジャイル」ということなのです。
 
 

▼まとめ

要は「チップチューン」に抵抗がなければ、プロトタイプを作るために活用してみてはいかが?というご提案でした。
 
チップチューンの完成後、演奏や理論に関する知識・スキルを深めていきながら色づけしていけばいいし、有識者に披露してアレンジしてもらってもいいと思います。
 
とにかく不安な音色はひとまずピコピコ音に任せておく、というのが効果的な使い道です。意外とそのままでもハマっちゃうかもしれませんしね。